墓じまいに必要な書類と手続き完全ガイド!|墓じまいに手順や注意点まで徹底解説!

スムーズな墓じまいを行うためには親族や墓管理者への相談や、行政的書類の作成、墓石解体撤去業者の手配など、前もっての十分な準備が必要です。


目次

墓じまいの手続きに必要な書類と取得方法は?

墓じまいを行うためには、下記書類を準備し市区町村窓口へ提出し、市区町村長の許可(「改葬許可証」の発行)が必要となります。

必要書類発行担当者
改葬許可申請書現在墓のある市区町村窓口
埋蔵証明書墓地管理者
受入証明書改葬先管理者
改葬承諾書墓主(申請者と墓主が違う場合)
申請者身分証明書(写)書類の申請者

改葬許可証」がなければ遺骨の取り出しができません

書類提出後、「改葬許可証」発行の所要時間は市区町村により異なりますが、おおよそ(目安)1~2週間程度かかるようです。余裕を持って申請しておきましょう。

それでは、「改葬許可証」発行に必要な書類について、解説していきます。

改葬許可申請書

「改葬許可申請書」は、現在の墓のある市区町村窓口で取得可能、市区町村ホームページからもダウンロードできます。

出典:東京都港区ホームページ

埋蔵証明書

埋蔵証明書」は、現在のお墓に遺骨が埋蔵されていることの証明となる書類です。この書類は、墓地管理者が発行することになっていますが、墓主が記入し墓地管理者が署名・捺印のみ行うケースも多いようです。書式は任意でもかまいません。

出典:滋賀県彦根市ホームページ

※「埋蔵証明書」の代わりに「改葬許可申請書」への署名・捺印欄でよい場合も多いようです(上記港区改葬許可新支所参照)。詳しくは市区町村役場に確認しましょう。

受入証明書

改葬先の墓地管理者が墓主と契約時に発行する書類です。遺骨の受け入れを証明する書類(書式は任意)となります。改葬先の市区町村役場によっては不要な所もあるようですので市区町村役場に確認が必要です。

受入証明書書式例 出典:糸魚川市ホームページ

改葬承諾書

墓主と改葬許可申請を行う人が違う場合にのみ必要となります。書式は墓地のある市区町村役場の窓口かホームページで入手可能です。

※他の市区町村では「委任状」といったり、市区町村により名称は異なるようです。また書式も任意で構わない市区町村も多いようですので事前にご確認ください。

出典:岡山県岡山市ホームページ

申請者の身分証明書【写】

市区町村により異なりますが、申請者の身分証明書が必要となる場合もあります。

必要書類準備後の流れ

上記で紹介してきた書類はすべて、「改葬許可証」入手のため必要な書類です。「改葬許可証」の取得手順は以下の通り。

  1. 市区町村窓口で「改葬許可申請書」を取得する。
  2. 墓地管理者に「埋蔵証明書」、もしくは「改葬許可申請書」の埋蔵証明欄に署名捺印をお願いする。
  3. 改葬先で受入証明書を発行してもらう。
  4. (墓主と申請者が違う場合は)墓主が「承諾書」に署名捺印を行う
  5. 書類一式(1~4)を市区町村役場の窓口に提出
  6. 市区町村による「改葬許可証」の交付
改葬許可証取得の流れ

「改葬許可証」は墓じまいを行う際に必ず必要となる書類ですので、墓石の解体工事を行う前に必ず用意できるよう、余裕を持って準備するようにして下さい。

事前準備と墓じまい全体の流れ

では、行政手続きを含めた墓じまい全体の流れを説明します。墓じまいを進めるためには、以下の手順で事前準備から始めましょう。

  1. 親族との相談
  2. 墓地・霊園の管理者に連絡
  3. 石材店に見積もりを依頼
  4. 行政手続き
  5. 閉眼供養
  6. 墓石の解体・撤去工事
  7. 新しい墓地へ納骨

親族との相談

まず、親族に相談し、同意を得ることが重要です。よりよい供養を行うための墓じまいであることを丁寧に説明し、理解を得ます。この時に改葬先についても相談しておきます。

お墓は多くの場合、家族や親族全員に関わりがあるため、墓じまいを無断で強行することはトラブルにつながります。改葬先の場所や新たな供養方法についても話し合い、納得した上で手続きを進めることが大切です。

墓地・霊園の管理者に連絡

現在のお墓がある墓地管理者に相談します。墓じまいをせざるを得ない事情を説明し、今まで長年お世話になった感謝とお礼を十分に伝えますスムーズな墓じまいを行うためには墓地管理者の理解が欠かせません

事前連絡なしの墓じまいの強行はトラブルにつながります。必ず墓地管理者には事前に連絡してから手続きを開始します。また、墓じまいを行うにあたり、離壇料が必要な場合もありますので確認しておきます。

石材店に見積もりを依頼

墓石の解体・撤去工事について見積を取ります。費用を抑えたければ複数の業者から相見積りを取るようにしてください。なお、寺院指定の石材店がある場合はその石材店を使用します。

行政手続き

墓じまいに必要な書類を準備します。

  • 改葬許可申請書
  • 埋蔵証明書
  • 受入証明書
  • 承諾書
  • 申請者身分証明書(写)

上記をそろえて市区町村役場に提出し、「改葬許可証」の発行を申請します。閉眼供養や墓石の解体・撤去作業までに必ず済ませておきます。

閉眼供養

遺骨を取り出す前に「閉眼供養」を行います。 (※)

住職が墓の前で読経をし、故人様たちの魂を抜いて通常の状態に戻すのです。閉眼供養を終えたお墓はただの石材となり、移動が可能となります。

※必ず行わなければならないわけではありませんが、閉眼供養をしないと撤去作業を請け負ってくれない石材店もあります。

墓石の解体・撤去工事

閉眼供養後、墓石の解体・撤去工事の日を決め、工事を行います。墓地を更地にし、墓地管理者に返還します。取り出した遺骨はご自身で改葬先に移動するか、ゆうパックなどで郵送する方法もあります。

新しい墓地へ納骨

取り出した遺骨をあらためて新しい墓地・供養施設に納め、「開眼供養」を行います。開眼供養とは、新たに建てたお墓や供養場所で、僧侶の読経によって供養を行う儀式です。

納骨の際には「改葬許可証」が必要となるので必ず持参するようにしましょう。


墓じまいにかかる費用

墓じまいには、いくつかの費用がかかります。以下は一般的な費用の内訳です。

墓石の解体・撤去(目安)8~15万円程度(1㎡あたり10万円程度)
閉眼供養(お布施 金額は宗派により異なる)(目安)3~10万円程度
離壇料(金額は宗派により異なりお寺への感謝の気持ちを示すもの)(目安)10~20万円程度
行政手続き(手数料)(目安)無料~500円程度
開眼供養(お布施 金額は宗派により異なる)(目安)3~10万円程度
新しい納骨先の費用(詳細は後述)(目安)5~200万円程度

墓石の解体・撤去

墓じまいを行うには、石材店に依頼し墓石を撤去・解体し更地にして墓地管理者に返却する必要があります。依頼する際には必ず複数の石材店に合見積もりを取り金額や作業内容を慎重に検討しましょう。

また、寺院によっては石材店の指定がある場合がありますので確認が必要です。

離壇料と閉眼・開眼供養

墓じまいを行う際、檀家を辞めることになるので離壇料が必要となる場合があります。一般的には(目安)10万円から20万円程度です。閉眼供養や開眼供養は行わない場合もありますが、行う場合には通常の法事のときと同じくらいのお布施をお渡しすればよいようです。

墓じまいにあたり事前に墓管理者に相談なく墓じまいを決めてしまうとトラブルになり、高額な離壇料を請求される場合もあります。事前に今までお世話になった感謝を十分に伝え、相談することで墓じまいがスムーズに進みます。

改葬先での費用

新しい供養先として、納骨堂や永代供養墓を選んだ場合、それぞれの施設での費用がかかります。具体的には、以下のような費用が必要です。

種類特徴費用(目安)
永代供養墓個別の区画に納骨する。一定期間後合祀墓に移される。40万円~150万円
納骨堂建物の中に遺骨を納める施設。アクセスしやすい場所にあることが多い。50万円~200万円
合祀墓血縁のない人たちと一緒に埋葬するタイプの墓10万円~30万円
樹木葬花や樹木を墓標として周辺に遺骨を埋葬20万円~150万円
散骨供養海や山などに遺骨を撒く方法ですが、場所によっては日本では許可が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。3万円~30万円

あとがき

墓じまいは、先祖に対する深い思いと私たちの生活との共存を図るひとつの方法です。核家族化や少子高齢化を背景にした墓継承者不足により、従来のお墓の維持が難しくなる中、多くの方が墓じまいを選択するようになりました。

しかし、この決断には親族や石材店、墓管理者等多くの人々が関わるため、慎重に進める必要があります。

墓じまいをスムーズに進めるための基本的なポイントは下記のとおりです。


親族と事前に相談し合意を得ること:親族との前もっての話し合いはトラブルを防ぎ、今後の供養についても協力を仰ぐことができます。

事前準備と必要な書類の確認:余裕を持って必要な書類を確認し、不備のないよう十分に確認後市区町村役場に提出しましょう。

墓地管理者との連携:墓地管理者への事前連絡もスムーズな墓じまいに欠かせません。十分に今までの感謝を伝えた上で、墓じまいを行う事情について理解を得ましょう。

供養方法の選択:現在供養方法の選択肢は多岐にわたります。親族と十分に話し合い誰もが納得できる供養方法を選択しましょう。

この記事が、皆さんが墓じまいを行う際の参考になれば幸いです。故人を想い、より良く供養できる方法を選択しましょう。

この記事を書いた人

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