【墓じまい】遺骨の処分方法を詳しく解説!費用や注意点について

墓じまいで取り出した遺骨は、正しく処分しないといけません。墓じまいは今あるお墓を解体し、更地にして管理者に返還します。取り出した遺骨は、新たな改葬先に持ち出すのが基本です。改葬方法によっては処分方法が異なり、勝手に処分はできません。

しかし、墓じまいは身近な儀式ではないため、どのように処分するのか分からない方も多いでしょう。また、処分方法によって改葬先を変更する方もいます。本記事では、墓じまいで取り出した遺骨の正しい処分方法を解説します。処分方法によって注意点もあるので墓じまい前に事前に確認しておきましょう。

目次

墓じまい後に遺骨を捨てて処分するのは法律違反

墓じまいで取り出した遺骨を勝手に処分、遺棄することは法律に反します。墓じまいはその名の通り、ご先祖さまの眠るお墓をなくすことです。お墓をなくすためには石材を解体します。その際、取り出される遺骨は石材店が処分するわけではないので、親族で正しく処分、移動します。

墓じまいにおいて、遺骨の遺棄、放置の事例はいくつかあります。改葬業者が遺骨や遺壺を遺棄した事例、公共施設のトイレに遺骨を放置した事例、コインロッカーに遺骨を遺棄した事例など法に反した遺骨の遺棄、放置の事例はあります。

しかし、こうした行為は「三年以下の懲役に処する」という法に反した行為であり、墓じまいで取り出した遺骨は正しく処分する義務があります。そのため、遺骨の持ち主が分からない場合は「遺骨は落とし物」として届けられ、警察署で保管されます。第三者も遺骨を発見した場合は、勝手に処分はできないのです。墓じまいにおいて遺骨は正しく処分しないと法律違反になることを理解しておきましょう。

墓じまい後に遺骨を処分しない場合

墓じまいで取り出した遺骨は「遺骨を処分するか」「遺骨を保管するか」で処分方法は異なります。まず、遺骨を処分せずに保管する場合の遺骨の正しい取り扱い方法について解説します。

  • 納骨堂に改葬する場合
  • 手元供養する場合
  • 個別埋葬型樹木葬を利用する場合

墓じまいで取り出した遺骨を処分しない場合、一般的に上記の3つの改葬方法を利用します。遺骨をどのように移動させ、保管するのかそれぞれ解説します。

納骨堂に改葬する場合

納骨堂に改葬する場合、遺骨を収蔵するスペースが利用できます。遺骨の移動は公共交通機関の利用も可能です。収蔵方法は納骨堂によって異なりますが、一般的に以下の種類が提供されます。

収蔵方法相場費用
位牌型約10万円
ロッカー型約20万円
仏壇型(個人型)約30万円
仏壇型(家族単位)約100万円
可動型
墓石型

費用面を考えると1番安価な位牌型が維持費の負担を抑えられます。ただし、今度親族の遺骨も一緒に収めたいと考えるなら仏壇型(家族単位)を検討しても良いでしょう。

手元供養する場合

手元供養は、手の届く場所で管理する方法です。現代の手元供養は、遺骨をパウダー状に粉砕してコンパクトにします。自宅で保管できるので、遺骨を保管するための維持費はかかりません。また、日々お線香を供えて手を合わせることができる供養方法です。

ひと昔前は、自宅に仏壇を用意して遺骨を保管していましたが、今ではさまざまな方法で供養できるのも人気の一つです。

  • オブジェなど手元供養品を活用する
  • 遺骨をアクセサリーなどに加工する

供養方法によって費用は異なりますが、どの方法でも数千円〜数万円程度です。ご先祖さまが近くにいると感じられる供養方法で、墓じまい後の費用も抑えることが可能です。

個別埋葬型樹木葬

個別埋葬型樹木葬は遺骨の処分に近いですが、個別区画に遺骨を埋葬するので特別な場所を守ることができる改葬方法です。1人用の費用目安は約15万円〜60万円になりますが、これからも参拝先がある環境は親族の心の拠り所を残すと考えられるでしょう。ただし、 個別埋葬型樹木葬の場合、遺骨は時間をかけて土に還るので取り出すことはできません。

「気持ちの整理がつくまでは」と時間が必要な場合は「ガーデニング型樹木葬」がおすすめです。ガーデニング型樹木葬の場合、 個別の納骨スペースを一定期間利用できます。また、小さな墓碑を置くプランもあるので相談してみると良いでしょう。

墓じまい後に遺骨を処分する場合

墓じまい後に遺骨を処分する場合は、「永代供養」「自然葬」が一般的です。

永代供養

永代供養は、ひとつの供養塔に合祀されます。費用は約3万〜10万円程度です。他の遺骨と一緒に埋葬するので親族の合意が必要になりますが、墓地管理者が定期的に供養してくれるので気持ち的に負担は少なくなります。

合祀埋葬は、他の遺骨と区別がつかないため取り出すことはできません。個別のお墓でないことはデメリットに感じますが、墓地の使用面積は少なく、維持費は安く済みます。地域によっては集落の人たちが一緒に埋葬されるお墓もあります。決して間違った埋葬方法ではないことを理解した上で候補として考えても良いでしょう。

自然葬

現代、生前希望する方も増えているのが遺骨を自然に還す「自然葬」です。自然葬には「海洋散骨」「合祀型樹木葬」「散骨」などがあります。費用や散骨方法が異なりますが、どれもガイドラインに沿った方法で処分しないといけません。

海に粉骨した遺骨を撒く海洋散骨は、一般的には散骨業者に粉骨、散骨を依頼します。費用相場は約2万〜10万円です。地域によっては海洋散骨を行う業者がない場合もありますが、遺骨を郵送して委託できる業者もあります。

海洋散骨は専門業者への委託が一般的ですが、自身で行うことも可能です。その場合は、チャーター代や同乗する人数によって費用が異なります。自身で海洋散骨を行う場合、最低でも30万円はかかります。自身で行うことも可能ですが、海に遺骨を撒く行為を禁止する自治体もあります。そのため、トラブルを避けるためにも海洋散骨は業者への依頼がおすすめです。

 
合祀型樹木葬は、樹木のふもとに他の遺骨と一緒に埋葬されます。個別埋葬型樹木葬との違いは、他の遺骨が一緒に埋葬されるかどうかです。個別埋葬型樹木葬の場合、個別の区画を確保するので費用は高くなりますが、合祀型樹木葬は約5万円〜20万円に費用を抑えることができます。

山林や空に散骨する際の相場は、約1万5千〜30万円です。費用に幅があるのはさまざまなプランが用意されるからです。

  • 散骨業者が所有する里山に遺骨を散骨する
  • 風船に遺骨を入れて飛ばすバルーン葬
  • ヘリコプターで遺骨を撒くヘリコプター葬
  • 宇宙へ飛ばす宇宙葬

散骨も今では、ニーズに合わせたさまざまなプランを利用できます。散骨の場合、遺骨の居場所は把握できません。そのため、最後の埋葬と考えると少し費用が高くても親族の納得のいく方法を選ぶと良いです。もちろん、故人が生前希望している散骨方法があれば、ぜひ優先してあげてください。

墓じまいで遺骨を処分する際の注意点

墓じまいで遺骨を処分する際に、注意すべき点について解説します。

墓じまいで取り出した遺骨の移動方法

墓じまいで取り出した遺骨は、周囲へ配慮して移動させます。新しい納骨先まで距離がある場合は、利用できる運送会社は指定されるので注意が必要です。

移動方法注意点
公共交通機関・自動車を利用周囲への配慮のため遺骨は隠す
郵送ゆうパック(日本郵便)のみ利用可能で、骨壺内の水は抜いておく。緩衝材を詰めて、事前の遺骨の郵送依頼を連絡、相談する
NPO法人永代供養塔へ納骨する場合のみ利用可能

墓じまいで取り出した遺骨は、新たな改葬先に移動させます。何日も自宅で保管するものではありません。そのため、墓じまいを進める中で新たな改葬先は決定しています。新たな改葬先への移動手段は基本的に公共交通機関・自動車を利用します。場所によっては郵送が必要です。

自動車で移動する際は、周囲への配慮が必要です。郵送する場合は、ゆうパックのみ受け付けます。もし、改葬先のない遺骨はNPO法人の「納骨サービス」を利用します。この場合、NPO法人が所有する永代供養塔へ埋葬されます。

墓じまいで遺骨が土に還っている場合は石材店に依頼する

墓じまいで遺骨が土に還っている場合は、石材店に依頼すると良いです。地域によっては、遺骨を地中に埋葬します。時間が経つと遺骨と土が混ざるため、遺骨の取り出しに手間がかかります。

骨壷や骨袋に保管するためには、遺骨の分離や洗浄が必要です。目視できる部分もブラシなどを使用し洗浄します。細かい汚れは洗浄機の使用がおすすめです。カビや雑菌の繁殖を抑えるために入念な水切りも必要になるので、土に還った遺骨の取り扱いは石材店に依頼しましょう。 

遺骨の数が多い場合は費用の総額を事前に計算する

墓じまいで取り出した遺骨の数が多い場合は、事前に総額を計算しておきましょう。墓じまいで取り出される遺骨の数は各々異なります。先祖代々の遺骨を新たに埋葬するとなると埋葬費用は遺骨1柱あたりの価格になるので高額になります。

一般的には遺骨がいっぱいになったら古い遺骨から改葬します。しかし、一部の遺骨の改葬は頻繁に行うものではありません。墓じまいのタイミングで多くの遺骨の埋葬が必要になるケースは多いです。どのくらいの遺骨が埋葬されているのか把握して、費用の総額を事前に計算しておきましょう。

永代供養の管理料が不要か確認する

永代供養の初期費用は約3万〜10万円程度ですが、管理料は寺院や霊園によって異なるので、事前の確認が必要です。

永代供養の場合、お墓によっては年間管理料がかかります。管理料の相場は毎年5千〜2万円程度です。また毎年ではありませんが、「納骨手数料・彫刻料」「法要のお布施」がかかることもあります。納骨手数料・彫刻料の相場は3万〜10万円程度で、法要のお布施は3万〜5万円が相場です。

墓じまいを進める中で新たな改葬費用として予算を組んでいても、別途費用が必要となると気持ちの良いものではありません。永代供養は初期費用で済むのか、年間管理料が必要になるのか、他に別途かかるかもしれない費用があるのか事前に確認しておく必要があります。

墓じまいで取り出した遺骨の処分方法と費用を理解しておこう

墓じまいで取り出した遺骨の処分方法と相場費用をまとめます。

  • 納骨堂に改葬する場合|約10万〜約100万円
  • 手元供養する場合|数千円〜数万円
  • 個別埋葬型樹木葬|約15万〜60万円
  • 永代供養|約3万~10万円
  • 自然葬|約1万5千〜30万円

墓じまいで取り出した遺骨は正しい方法で埋葬が必要です。埋葬方法によって費用が異なるので、予算に合わせて無理なく納得のできる埋葬方法を選びましょう。

この記事を書いた人

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