墓じまいは、最低でも50万円ほどかかるので、利用できる補助金を有効活用しましょう。
地域によって補助金制度のない場合もあります。補助金制度の内容も自治体によって異なります。本記事では、墓じまいで利用できる補助金制度の実例と、補助金以外の助成金制度を紹介します。
墓じまいに必要な費用を抑えるためのポイントも解説するので、墓じまい前に事前に参考にしましょう。
墓じまいで利用できる補助金制度の事例
「千葉県市川市」「千葉県浦安市」「群馬県太田市」3つの市は、墓じまいの補助金制度を導入しています。それぞれ、どのような補助金制度を導入しているのか解説します。
市川市霊園の「一般墓地返還促進事業」
千葉県市川市の市川市霊園は「一般墓地返還促進事業」を用意します。使用許可後、3年以内で未使用の墓地を返還した場合、納付した使用料の2分の1が返還されます。3年以上の場合は返還料が下がりますが、使用料の4分の1が戻るので対象者は事前に確認しましょう。
通常は公募による申込・抽選ですが、お墓の維持が困難な方も使用者が市外の方でも申込可能です。墓じまいはタイミングが重要ですので、活用できる制度が利用できるタイミングで検討すると良いです。
浦安市墓地公園の「墓所返還者等支援事業」
千葉県浦安市の浦安市墓地公園は「墓所返還者等支援事業」を導入しています。対象者は、「浦安市墓地公園」の通常墓所または小型墓所の使用許可を受けている方です。
申請することで「合祀室改葬等許可制度」「永代供養のお墓の生前予約」「墓石撤去費等助成制度」3つの制度が利用できます。
合祀室改葬等許可制度は、埋蔵している遺骨の改葬先として合葬式墓地が利用できます。改葬先の使用料を抑えて、お墓の返還が可能できます。また、永代供養のお墓の生前予約も可能です。生前予約は使用料が必要です。合葬式墓地の使用料は1人につき35,000円ですが、亡くなった時のお墓を事前に予約できる制度です。
墓石撤去費等助成制度は、お墓の撤去費用に充てることが可能です。お墓の撤去費用に対して上限150,000円が支給されます。千葉県浦安市の浦安市墓地公園内にお墓をお持ちの方は、手厚い制度が利用できることを理解しておきましょう。
八王子山公園の「墓地墓石撤去費用助成金」
「墓地墓石撤去費用助成金」は、お墓の返還にかかる費用を負担する制度です。墓じまいを検討の方は必ず確認しておきましょう。八王子山公園内にお墓をお持ちの方が利用できる助成金は、以下の条件があるので確認しておきましょう。
- 平成31年4月1日以降に返還届を提出
- 墓石を撤去した利用者
- 管理料の滞納がない
条件を満たした対象者には、上限20万円の助成金が支給されます。「墓地墓石撤去費用助成金」の注意点は2つです。
- 墓石撤去に直接関わらない費用
- 対象外他墓地の撤去費用
助成金ご利用前に、どこまで支給範囲内か確認しておくと良いです。
墓じまいの補助金以外の助成金や支援制度の事例
「補助金」という名目で墓じまいの費用を負担する自治体はまだ少ないです。しかし、補助金以外で助成金や支援制度を行う自治体はあります。お住まいの地域が該当しないかチェックしておきましょう。
東京都:都立霊園「 施設変更制度」
東京都の都立霊園では「施設変更制度」が利用できます。都立霊園で個人のお墓をお持ちの方が、霊園内の合葬埋蔵施設に改葬する場合、改葬費用を負担します。
墓じまいで必要になる費用は幅があります。理由は、撤去費用や新たな改葬先によって料金が異なるからです。新たな改葬先で必要になる負担が軽減できるので、お墓の維持が困難な方は、活用したい制度です。施設変更制度が利用できる霊園は以下です。
- 多磨霊園
- 小平霊園
- 八王子霊園
- 八柱霊園
- 雑司ヶ谷霊園
- 青山霊園
- 谷中霊園
- 染井霊園
墓じまい後の改葬負担が必要ないだけでなく、申込者と配偶者も生前予約も可能です。お墓の継承者にお困りの方も一度、相談してみると良いでしょう。
大阪府:岸和田市墓苑(流木墓苑)「還付金制度」
大阪府の岸和田市墓苑(流木墓苑)では「還付金制度」が利用できます。岸和田市墓苑にお持ちのお墓の返還後、使用料の25%が戻される制度です。還付金額は年数によって異なるので注意が必要です。
また、岸和田市墓苑(流木墓苑)では以前、お墓の解体にかかる費用を負担する制度がありました。墓じまいにおいて費用が高くなる撤去費用の負担は手厚いサービスでしたが、現在行っていないので注意しましょう。
大阪府:泉大津市公園墓地・組合墓地(春日墓地)「還付金制度」
大阪府の泉大津市公園墓地・組合墓地(春日墓地)ではお墓の使用年数に応じて使用量が返還される「還付金制度」があります。使用開始から15年未満の場合、使用料50/100が返還されます。30年未満の場合は30/100の使用料が返還されます。支給タイミングは、いずれもお墓の撤去完了になります。
岡山県玉野市:玉野市霊園「還付金制度」
玉野市霊園で利用できる「還付金制度」は、使用許可の時期と利用状況によって10〜100%の還付金が受け取れます。お墓の返還が条件なので、必ずお墓の解体・撤去が必要です。状態によっては還付率も高くなるので、玉野市霊園内にお墓をお持ちの方は、事前に確認しておきましょう。
茨城県水戸市:水戸市公園墓地「返還協力金」
茨城県水戸市の水戸市公園墓地は「返還協力金」が受け取れます。返還協力金交付の対象者は以下です。
- 使用許可日の翌年度から7年以上経過している
- 水戸市公園墓地区画内に納骨をしたことがない
- 管理料に未納がない
「返還協力金」で受け取れる交付金額はお墓の大きさによって異なり、以下を参考にしてください。
墓地の大きさ | 協力金 |
---|---|
特別霊域(4~36平方メートル) | 26,250円 |
第1種(12平方メートル) | 294,000円 |
第2種(8平方メートル) | 168,000円 |
第3種(6平方メートル) | 115,500円 |
第4種(4平方メートル) | 70,000円 |
墓じまいで補助金をもらう方法
補助金の受け取りは自治体の定められた手順に沿って行います。自治体によって手続き内容は多少異なりますが、一般的な流れに大きな違いはありません。
補助金の対象になる費用
墓じまい助成金額の上限は自治体によって異なります。現在、行われる制度から支給金額は10万〜20万円です。支給金額は主に以下が該当します。
- お墓の撤去にかかる費用の一部負担
- 改葬費用の一部負担
- 使用料の返還(年数による)
お住まいの自治体の支給内容を事前に確認しておきましょう。
補助金の受給タイミング
補助金の支給タイミングは、一般的に「墓じまい完了」のタイミングです。墓じまいする予定の段階では確定ではありません。お墓のあった場所が更地になって、管理者への返還が済んだ後に、必要書類を提出します。そこから、実際に支給されるまで数週間〜数ヶ月かかります。必ず、振り込みまで確認するようにしましょう。
補助金を受け取る申請手順
申請手順が、自治体により異なりますが、一般的な流れは以下です。
- 助成制度の情報収集する
- 申請書の入手する
- 必要書類の準備する
- 助成金交付申請書の提出する
- 助成金交付請求書の提出する
手順が前後する場合があります。自治体によっては別途必要な手続きがあります。面倒に感じるかもしれませんが、費用の一部負担は、墓じまいのコスト削減になるので必ず活用しましょう。
補助金以外で墓じまいの費用を抑える3つの方法
墓じまいの補助金以外で、費用を抑える方法を紹介します。残念ながら、補助金制度が活用できない地域もあります。補助金制度が利用できる地域も、負担を少なくするために参考にしてください。
- 改葬方法を選ぶ
- 墓石撤去工事は複数者から見積もりをとる
- メモリアルローンを利用する
改葬方法を選ぶ
墓じまいでは、今後の改葬先を決定する必要があります。改葬方法によって費用に幅があるので、予算を考えて改葬方法を選びましょう。改葬先は主に以下のとおりです。
改葬方法 | 費用相場 |
---|---|
納骨堂 | 10万円〜100万円 |
永代供養 | 3万〜10万円 |
自然葬 | 2万〜30万円 |
手元供養 | 数千円〜数万円 |
墓石撤去工事は複数者から見積もりをとる
墓じまいにおいて、墓石撤去を依頼する業者は必ず複数店から見積もりをとります。理由は、業者によって工事費用が異なるからです。
- お墓の大きさを詳細に伝える
- お墓の位置を伝える
- 工事にかかる日数を確認する
- 誤差のない見積書を出してもらう
お墓の撤去は、お墓の大きさと場所によって異なります。お墓が大きいと費用は高くなります。撤去にかかる日数や人件費が変わるからです。また、お墓の場所も重要です。工事に必要な作業車が入りにくい場所だと別途料金がかかります。誤差のない見積書を出すためにも工事業者には詳細を伝え、安く安心して依頼できる業者を選びましょう。
メモリアルローンを利用する
メモリアルローンの利用もおすすめです。メモリアルローンは銀行が提供するローンの種類です。メモリアルローンの名の通り、葬儀や墓じまいに利用できます。墓じまいは最低でも50万円〜必要です。まとまったお金を工面するのは容易ではありません。墓じまいしたことで数ヶ月圧迫した生活を送るのは避けるべきです。
メモリアルローンは他のローンと比較しても金利が低く、審査が通りやすい特徴があります。まとまった費用を用意できるので、生活に困らず墓じまいを進められます。無理のない返済計画を立てることで、ストレスなく墓じまいができるのでメモリアルローンの利用も検討しましょう。
墓じまいは補助金を活用しよう!
墓じまいは、補助金を活用すると良いです。墓じまいにかかる費用は決して安くありません。そのため、親族と協力して行います。それでも、余裕を持って墓じまいを進めるのは簡単ではありません。
墓じまいにおける補助金制度は、お墓の放置を防ぐためでもあります。継承者がいなくなったお墓は管理されずに放置されます。最終的に、強制退去となります。墓地の管理人の負担はもちろん、故人の遺骨の処分を親族ができないという最期を迎えます。こうした状況をなくすためにも補助金制度を導入するので、墓じまいで利用できる補助金制度は積極的に活用していきましょう。