遺品整理は自分でできる?失敗しないための方法やコツを解説

大切なご家族が亡くなり悲しむ間もなく葬儀や死亡届に各種手続きなど、落ち着くまではかなり慌ただしいことと思います。

やっとほとんどのことが終わり、さて遺品整理となったときに何から手を付けていいか分からない人も多いことでしょう。一般的には、遺品整理業者に依頼する人が多い反面、「大切な家族の遺品を、他人に触られたくない」と感じる人がいるのも事実です。

このようなとき、遺品整理は自分でできるものなのか?できるとすればどこまで可能か?と思う人もいるのではないでしょうか。

ここでは、遺品整理は自分でできるかについてどこまでできて、どのような方法やコツがあるのかをご紹介していきます。

こんな人におすすめ
  • 遺品整理をできるだけ自分でしたいけど不安
  • 遺品整理を自分でするときの方法やコツが知りたい
  • 遺品整理は自分でどこまでできるの?
目次

そもそも遺品整理って自分でできるの?

結論からいうと、遺品整理は自分でできます。しかし、それには入念な計画を立てることが重要です。基本的には、遺品整理はいつから始めていつまでに終わらせるべきという期限やルールはありません。自分の都合のいいときに、いつでも始められます。

ただし、親族を亡くした悲しみの中、気持ちの整理が付かない状態で始めても思い出がよみがえり手が止まってしまうこともあるでしょう。そのため、やみくもに始めて時間ばかりが過ぎて、朝から1日がかりでやっても結局何もできなかったというケースは多いものです。

実際、私の母も父が亡くなって遺品整理を始めるも、いちいち思い出がよみがえってなかなか片付かなかったそうです。そして気付けばずっと、一緒に旅行に行ったときの写真やアルバムばかり何時間も見ていたと言います。

私は遠方だったため遺品整理はほとんど手伝えませんでしたが、比較的実家の近くに住む兄弟たちがたまの休みを利用して少しずつやって、今は何とか落ち着いたそうです。

兄弟たち曰く、「結局無計画で始めたから整理しているつもりで、いつの間にか思い出鑑賞会になっちゃうんだよね」と言って笑っていました。そして、「まずはいつから始めていつまでに終わらせるか計画を立ててやるのが肝心だ」とも言います。

遺品整理のスケジュールが決まれば、あとはそれに必要な物を揃えて下準備に移るなど、段階的に進めていくとスムーズに進むと思います。

では、その下準備を次の章で詳しく解説していきましょう。

自分でやる遺品整理は下準備が肝心!その下準備とは?

遺品整理を順調に進めていくためにも作業に必要な道具を揃えたり、タイミングや税金など手続きしたり、一つ一つ進めていく必要があります。下準備の主な項目は、以下の5つです。

  • 作業に必要な物を準備する
  • 親族に遺品整理することを知らせる
  • できるだけ複数人で役割分担して進める
  • 遺品整理を始めるタイミングの決定
  • 税金や各種契約内容の解約などの手続きをする

遺品整理前の大事な下準備ですので、実際の計画の参考にしてみてください。

作業に必要な物を準備する

遺品整理は意外に大掛かりな作業になってきます。体力的にもきつい場面も出てくると想定されるので、作業を始めるにはそれなりに服装や、作業に必要な資材や道具を揃える必要があります。

以下に、作業をするときの服装や作業に必要な資材、道具をご紹介しましょう。ほんの一部ですので、必要に応じて追加したり減らしたりして構いません。

【作業するときの服装】

  • 汚れてもいい作業しやすい服装
  • 軍手、厚手の手袋
  • マスク
  • スリッパ
  • 厚手の靴下

【作業に必要な資材・道具】

  • 大きいビニールのゴミ袋
  • ダンボール
  • ガムテープ
  • 油性マジックペン
  • カッターとハサミ
  • 掃除機
  • ペンチやドライバーなどの工具(家具分解用)
  • 台車
  • ほうき
  • ロープ

親族に遺品整理することを知らせる

一通りの下準備ができたら、親族に遺品整理をすることを知らせます。知らせる方法は、電話やLINEなど普段やり取りするときのツールで知らせても問題ありません。

特に、法定相続人に当たる人には必ず知らせておきましょう。勝手に進めてしまうと、大事な物まで誤って捨ててしまう可能性があります。

処分していいか判断が難しい物が出てくると作業が難航し、中断したままになることもあるので事前の話し合いをしてください。特に、貴重品や高値で売れそうな物はその価値が分からず処分してしまい、トラブルに発展するケースもあるので要注意です。

できるだけ複数人で役割分担して進める

遺品整理を一緒にできる人がいれば、いつやるかの日程を伝え、作業に必要な物も伝えておくと、当日すぐに作業に取り掛かれます。

大型家具の取り外しや、場合によっては解体も必要になるかもしれません。その後の部屋の清掃もあるので、できるだけ複数人に参加してもらうと効率よく進めることができるでしょう。その際、それぞれに誰が何の作業をやるかなどの役割を分担しておくと効率よく進められます。

遺品整理を始めるタイミングの決定

遺品整理を始める前の下準備が揃ったら、次は遺品整理を始めるタイミングを決定します。下準備の段階で、大まかな日程を決めておいてもいいでしょう。

そして、故人が住んでいた建物が賃貸か持ち家かによってもタイミングは違ってきます。故人と同居していた家族がいる場合はその人の日程、都合も一緒に考える必要が出てくるので、それぞれのタイミングを以下にまとめました。

  • 賃貸物件(一人暮らしだった場合):退去期日・亡くなった月の月末又は翌月末・四十九日法要後
  • 持ち家(期限がない):年金や相続の手続き以外、気持ちの整理が付いたとき
  • 同居家族がいる:死亡後の手続き完了後・法要後・心の整理が付いたとき・四十九日や一周忌など

賃貸物件の場合は、契約が結ばれている限り毎月賃料が発生します。おのずと遺品整理をいつから始めて、いつまでに終わらせるかなどの計画を早急に立てる必要が出てきますので、このときに親族と話し合って決めてしまいましょう。

一般的には、故人が亡くなった月の月末か翌月末までに終わらせ解約するケースが多いです。しかし、四十九日法要が終わるまで契約を継続する場合もあります。これは四十九日までは故人がこの世を彷徨っているといわれるため、それまでは故人の安住の地として、置いておきたいと考えるためです。

持ち家の場合は期限がないので、年金や相続などの諸手続きが終われば心の整理が付いたときに始めても大丈夫です。同居家族がいる場合も、その人の都合に合わせて始めていきます。

この辺りも、親族と綿密に相談して決めていきましょう。

税金や各種契約内容の解約などの手続きをする

いずれの移住体系に関わらず、故人が亡くなったあと早急に見付けておくものがあります。お金に関するものや本人確認書類などはさまざまな手続きの際に必要になるので、遺品整理を始める際に先にこれらのものを探し出して必要になる日まで、大切に保管しておきましょう。

【お金に関するもの】

  • 現金
  • 印鑑
  • 銀行通帳
  • クレジットカード
  • 土地権利書など不動産関係書類
  • 有価証券(株式、債券、手形、小切手など)
  • 貴金属(宝石・骨董品・美術品など)

【本人確認書類】

  • 免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 健康保険証
  • 医師による死亡届出書

特に、本人確認書類は各種手続きでそのたびに必要になるものです。できるだけ複数枚コピーを取っておくようにしましょう。

遺品整理を自分でやるための方法とコツ

遺品整理は複数人で始めるのが望ましいですが、自分一人でやる場合でも以下の点を抑えておくとスムーズに始めることができます。

  • スケジュールを決める
  • 必要な物と不要な物を仕分けする
  • 不用品を処分する方法
  • 清掃する

スケジュールを決める

遺品整理を始める前の大事なプロセスです。遺品整理の必要が出てきたら、その時点で大まかにでも日程や作業の割り当てを考えてメモしておきます。時間ができたときに、メモしたことを忘れないうちにスケジュール表などを作って整理して書いていきましょう。

その際、予定が書き込めるカレンダーを使うと便利です。作業する日付のところにその日作業する項目を書き込みます。作業する日は、できるだけ何時までに作業を終わらせるかの時間も決めておきましょう。時間制限を課しておくと、その時間までに何をどう片付けるか考えながらやるようになるので、効率よく進められます。

必要な物と不要な物を仕分けする

遺品の仕分けをする場合は、まずは一目見て必要そうな物とそうでない物に分けて作業を進めていきます。その中に、必要か不要かの判断が難しい物も必ず出てくるので、それは一旦保留の形にして別にしておきましょう。そのときに考えてしまうと、作業に取り掛かれなくなるのでほとんどの整理が終わるまでダンボールなどに入れて、保管しておくようにします。

【必要な物】

  • 故人が大切にしていた物
  • 写真、アルバム
  • 手紙
  • 形見の品
  • 貴金属(宝石や金貨など)
  • 美術品
  • 古い物で歴史的価値がある物
  • コレクター品
  • 現金、通帳など金銭関係類

【不要な物】

  • 燃えるゴミ(紙、革製品、ビニール、小物家具など)
  • 燃えないゴミ(金属類、電球、スプレー類など)
  • 粗大ゴミ(大型家具、リサイクルに義務付けられていない家電、布団など)

【保留にする物】

  • 故人が大切にしていた物全般(服、持ち物など)

現金や通帳などは法的な手続きで必ず必要になりますので、見つけた時点でダンボールにまとめて保管しておきましょう。一通りの作業が済み次第、親族と話し合って整理します。自分一人の判断で進めると、トラブルになるので話し合いは必須です。

不用品を処分する方法

不用品にも物によって処分方法も変わってきます。そのため、さらに処分する方法に合わせて仕分けしておくと、作業がスムーズです。不用品の処分には、以下のような処分方法があります。

  • 自治体のゴミ収集ゴミ処理場に持ち込む
  • 不用品回収業者に依頼
  • リサイクルショップに売る
  • 親族、他人に譲る
  • 供養、お焚き上げしてもらう
  • 寄付する

主には、自治体のゴミ収集日に合わせて指定の場所に出したり、ゴミ処理場に持ち込んだりする方法が一般的です。大まかには「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」に分けますが、「粗大ゴミ」も出ると思います。

ただし、自治体で回収できないゴミもあるので、お住いの地域のルールを確認してください。例えば「ブロック」「土」「テレビ」「エアコン」「石」などです。この場合は、不用品回収業者に依頼する必要があります。

また、不用品だけどそのまま処分するには忍びない物もあると思います。このような場合は、「遺品供養」「寄付」に出すと、ご自身の心の整理もできるのでおすすめです。

清掃する

すべての整理が終わると、最後の総仕上げとして清掃も忘れてはいけません。整理しながらでも、できるところは掃除しながら整理すると、総仕上げも時短できるでしょう。

またゴミの出し方も、決められた曜日に決められた種類のゴミを出すなど、曜日や時間は厳守してください。遺品整理の最終日に間に合うように、事前のスケジュールで決めておきましょう。夜間のゴミ出しや他府県などに持ち帰るなどは法令違反になるので、十分注意してください。

自分でできる清掃以外に、普段の清掃では落とせない汚れや臭いなどがある場合は、遺品整理業者に連絡しましょう。遺品整理業者では、「特種清掃」というサービスがあります。

これは、故人が例えば孤独死自殺といった亡くなり方だった場合、発見されるまでの間に遺体から出る体液や腐敗などで悪臭が出るということもあり、染みついた汚れや臭いは通常の清掃では落とせません。

遺品整理業者では、このような清掃は特殊な機器と強い洗浄効果のある洗剤を使って清掃します。衛生面もあるので、このような場合の清掃は自分ではやらずに業者に依頼してください。

遺品整理を自分でやることのメリット・デメリット

遺品整理を自分でやることには、メリットもあればデメリットもあります。主なメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット】

  • 業者に依頼するより、比較的安価で済む
  • 自分のペースで思い出に浸りながら整理できる

【デメリット】

  • 遺品に思い出が詰まっており、悲しみがよみがえり整理が進まない。
  • 遺品の必要不要の境界線が分かりづらい

メリットはやはり、自分のペースで作業が進められることです。費用面でも、全面的に業者に依頼するよりはるかに抑えられます。ただし、税金など各種届出や諸手続きなどはそれぞれ期限が定められているものもあるので、先にそれらの期限や期間を把握しておくようにしましょう。

例えば、相続税や賃貸物件の退去期限などです。相続税の申告期限は、故人が亡くなってから10ヶ月以内、相続放棄の申請は3ヶ月以内、また家を売却する場合は、引き渡し日なども把握しておく必要があります。

デメリットは、やはり遺品にそれぞれ思い出が詰まっているため、しばし手を止めてしまうこともあるでしょう。そうなると、遺品整理の時間が長引いてしまう点でデメリットといえると思います。

また、遺品によって捨てていい物の境界線が分からないなどで、その判断に時間を要する可能性も出てくるでしょう。親族間で話し合いが肝心ですが、親族間でも答えが出ない場合は専門業者に相談する必要も出てくるかもしれません。

遺品整理を自分でできなかったら無理せず遺品整理業者に依頼

自分でやる遺品整理は、どうしても時間がかかります。2週間程度で終わることもあれば、1ヶ月かかる場合もあり、体力的にも精神的にもつらい作業になることは否めません。

自分の仕事の都合もあるでしょうし、せっかくの休みの日でも遺品整理で丸つぶれということも珍しくありません。整理する期限が決まっているものでなければ焦る必要はないので、できるときに少しずつ進めていくことをおすすめします。

それでもどうしても思うように進まないといった場合は、無理をせず遺品整理業者に相談してみましょう。最終的に依頼するかどうかは見積もりを取ってもらったあとでもいいのです。見積もりをしてもらったからといって、契約しなければいけないということはありません。

遺品整理業者には、買取サービスもオプションとして提供している業者が多いです。その場合、遺品整理にかかった費用から買取金額を相殺して割引してくれますので、費用の軽減が見込めます。

【まとめ】遺品整理は自分でやることにこだわりすぎない

今回は、遺品整理は自分でできるのか、その方法やコツをご紹介してきました。できるだけ自分でしたいと思っても、生前故人がどんなものを大事にしていたか、一緒に住んでいても意外と知らないこともあります。

遺品整理業者に頼まず、自分だけでやろうと始めても結局挫折してしまう人もいるのです。このようなときは、あまり自分でやることにこだわりすぎない方が得策です。

できるところまでやって、難しい場合は遺品整理業者に依頼すればいいというくらいの心構えで取り組んだ方が、意外とスムーズに進む場合もあります。

難しく考えずに、落ち着いたときにリラックスして初めてみましょう。

この記事を書いた人

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