お墓を建てる前に要チェック!7つの手順と5つのポイントを解説

「お墓を建てたいけど、どうすればいいんだろう…」

このように、お墓を建てる際に悩まれている方は少なくありません。
人生において、お墓の建立は大きな決断といえます。
建立の手順や必要な書類、場所選びのポイントなど、考慮すべき点が多くあります。

本記事では、お墓を建てる一連の流れから建立の際の重要なポイントまで、お墓づくりに必要な情報を分かりやすく解説します

目次

お墓を建てる意味と目的

お墓の建立理由について、深く考える機会はあまりないかもしれません。
多くの方は、大切な人を見送った後に建てるものという認識をお持ちですが、お墓には私たちの想像以上に重要な意義が備わっています。

お墓を建てることが持つ意味と役割について解説しましょう。

大切な人々の安寧を願う心の表れ

お墓は先祖の魂が安らかに眠る場所として大切な役割を担っています
日本においては伝統的に、亡くなった方の遺体を土に還す風習が根付いており、日本では古くから、遺体の保護や魂の安息のために石材が使用されていました。

その後、時代の変遷と仏教文化の広がりにより、石材は供養の象徴的な存在へと変化したのです。
現代では、遺骨を納めることで故人の冥福を祈り、心に安らぎをもたらす場所とされています。。

幸せを願う祈りの場所としての役割

お墓は家族の幸福を祈る神聖な場所とされています
日常生活を穏やかに過ごせることへの感謝と願いを込める特別な空間なのです。

墓前で先祖に語りかけるという経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。
日々の出来事や将来への願いなど、様々な思いを伝える場面があります。

先祖の魂とつながることで、私たちの人生に幸せと安らぎがもたらされると考えられています。。
お墓は祈りを捧げる神聖な場所であり、自分のルーツを見つめ直すきっかけを与えてくれる場所といえるでしょう。

お墓を建てる7つの手順

新しいお墓の建立を考えている方に向けて、必要となる手順を解説します。
各段階で押さえるべきポイントを分かりやすく解説していきましょう。

【手順1】お墓の種類を選ぶ

お墓を建てる際、予算設定と希望する条件の整理が最初の重要なステップとなります
建立費用や墓地の場所、アクセスの利便性など、具体的な条件をリストアップしておきましょう。

現代では伝統的な一般墓だけでなく、さまざまな選択肢が用意されています。
具体的な選択肢は以下の通りです。

形態特徴費用
一般墓従来型の墓石建立50万円〜150万円
樹木葬自然に還る形態5万円〜150万円
納骨堂室内保管型10万円〜150万円
永代供養墓寺院による永続的な供養5万円〜150万円

費用面からお墓選びを始めることも一つの方法です。
たとえば、費用面で余裕がないという場合、樹木葬や納骨堂、永代供養墓は価格帯が異なるため、検討してみてください。

【手順2】墓地・霊園を選ぶ

お墓の種類が決まったら、インターネットや広告などを活用して情報を集めましょう
価格やアクセス面、宗派による制約がないかなどを確認しながら、要望に合う候補地を探します。

墓地・霊園には、運営主体に基づいて以下の3つのタイプがあります。

運営主体特徴備考
公営墓地自治体が管理運営比較的安価だが募集時期要確認
民営墓地民間企業が運営設備が充実、価格は高め
寺院墓地寺院が管理檀家限定の場合あり

公営墓地を希望する場合は、自治体が提供する最新情報を確認しておくようにしましょう。
寺院墓地では、檀家であることが利用条件となることもあるので注意が必要です

候補地が決まったら、実地見学を行うことをおすすめします。
お参りのしやすさや周辺環境、管理状態など、実際に確認しておくことが大切です。

【手順3】石材店を選ぶ

霊園によって異なる規定があるため、事前の確認が必要です
自由に選択が可能な場合もありますが、指定店制を採用している墓地・霊園も少なくありません。

特に民間霊園では、案内を担当した石材店と契約することが一般的です。
そのため、複数の指定店がある墓地・霊園を検討している場合、希望する石材店に相談し、その後に現地見学を行うことがおすすめです。

【手順4】墓石のデザインを決める

墓石は、石材の質感から形状、文字の刻印まで、細部にわたって決めることが可能です
オーダーメイドのデザインを施すこともできるので、石材店に相談することをおすすめします。

墓石選びのポイントは以下のとおりです。

検討項目主なポイント注意点
石材耐久性・色合い・質感気候による適応性を確認
サイズ区画に合わせた大きさ霊園の規定を要確認
デザイン形状・装飾・彫刻周辺との調和に配慮
文字戒名・家名の刻印配置・書体の選択

デザインの自由度は高いものの、周囲との調和を考慮する必要があります。
事前に墓地・霊園側の規約でサイズや形状の制限がないか確認することが重要です。

【手順5】お墓の建立工事を行う

お墓の建立工事は、基礎工事、外柵設置工事、墓石設置工事という流れで行われます
工事は丁寧な作業と十分な養生期間が必要となるため、完成までにはおよそ2~3か月かかります。

基礎工事とは、墓石を安定して支えるための地盤作りの工事です。
地盤の安定性は墓石の耐久性に影響するため、この工程は慎重に行います。

外柵設置工事とは、周囲の区画との境界を明確にする外柵を設置する工事です。
家族の意向や霊園の規定に沿って、装飾など細部まで丁寧に仕上げます

最後に実施されるのが墓石設置工事です。
墓石本体の設置と仕上がりを確認します。
墓石の水平・垂直を正確に調整し、安全性と美観を両立させます。

【手順6】完成確認をして費用を支払う

お墓の完成後は、発注時の要望通りに仕上がっているかを確認することが大切です
具体的には、墓石の傾き、石材の状態、文字の刻印などを入念にチェックします。
満足のいく仕上がりになっていれば、支払いの手続きへと進みます。

支払い方法は石材店によって異なりますが、主に以下のとおりです。

支払い方式特徴メリット
全額後払い完成後一括払い仕上がり確認後の支払い
完成前・完成後の分割払い着工時と完成時費用負担の分散が可能
メモリアルローン月々の分割払い初期負担を抑制可能

費用面で不安がある場合は、メモリアルローンの活用も検討すると良いでしょう
事前に石材店へ相談することで、適切なプランの提案を受けられます。

【手順7】開眼供養と納骨式を行う

開眼供養とは、完成したお墓に魂を宿す大切な儀式です
一般的には納骨式と同時に執り行われ、これによってお墓が正式に参拝の対象とみなされるようになります。

開眼供養と納骨式の規模は、家族だけの小規模なものから、親族も含めた大人数で行うケースまで柔軟に対応可能です。

儀式に必要となる会食や引き出物についても、親族間で合意が得られていれば、近しい人だけで行うケースや会食をなしにするケースなども差し支えありません。

開眼供養や納骨式は、故人を偲ぶ気持ちを込めることが重要とされています。

お墓を建てる際に必要な書類

お墓の建立手続きでは、複数の書類が必要となります
手続きをスムーズに進めるためにも、必要書類を事前に把握しておくことが大切です。

埋葬許可証について

参照:高槻市 埋葬許可証とは

遺骨をお墓へ埋葬する際に必要な公的書類です。
死亡届の提出後、市区町村の役所から「火葬・埋葬許可証」が発行される流れになっています。

この許可証がない状態での埋葬は法律上認められていませんので、注意が必要です。

墓地使用許可証について

参照:有限会社 もりのや石材|改・埋葬 分骨の手続「永代使用承諾証見本」

墓地管理者が発行する使用権の証明書類で、永代使用書とも呼ばれます。
墓地や霊園との契約が成立し、費用の支払い完了後に発行されます。

この許可証は、お墓の建立工事を開始する際や納骨を行う際に必要となる大切な書類です。
将来的にはお墓の承継の際にも使用する重要書類ですので、紛失しないよう大切に保管しておきましょう

工事届について

参照:北海道 小清水町|墓地の使用に係る各種手続きについて

お墓を建立する際に墓地や霊園へ提出する書類です。
建立内容や工事スケジュールなどの情報が記載されています。
通常は石材店が作成し、主に以下の内容が含まれます。

  • 工事期間の予定(開始日と完了予定日)
  • 墓石の詳細仕様(デザインや使用する石材の種類など)
  • 施工担当者の情報(会社名や責任者の連絡先)

なお、工事届の提出方法は墓地・霊園によって異なるため、事前に確認するのがおすすめです。

お墓を建てる場所を選ぶ際に重要なポイント

最適なお墓の建立場所を選ぶためには、重要なポイントを考慮して検討する必要があります

以下では、場所選びで重視すべきポイントについて解説します。

宗派・宗旨の制約はあるか

宗派や宗旨の制約については、特に慎重に確認することが重要です
寺院や霊園によっては、特定の宗派や宗旨を限定していることがあるため、事前の確認が求められます。

その一方で、一般の霊園では比較的宗教面での制約が少なく、どの宗派でも受け入れ可能な場合が多くなっています
お墓を建てる前に、管理者へ確認することがおすすめです。

管理体制が充実しているか

日々のお参りのしやすさも重要なポイントです。
設備の充実度と維持管理状況に大きく左右されるため、以下のポイントについて確認することが大切です。

  • 管理事務所の維持・管理状況(職員の対応や営業時間などを含む)
  • 水場の使いやすさ(給水設備の配置や清潔さを確認)
  • 駐車設備の整備状態(駐車場の広さや満車時の対応など)
  • 参道の管理状況(道幅や舗装の有無、歩きやすさなど)  

また、施設や設備からお墓までの距離も重要な判断材料となります。
将来的な体力の低下も想定した上で、長期的な視点で検討することが重要です

周辺の環境は整っているか

お墓周辺の環境は、お参りの際の心の安らぎに影響します
日当たりや風通しはもちろん、周辺からの騒音レベルなども確認することが大切です。

これらのポイントを押さえ、検討することをおすすめします。

  • 日当たりの具合(お墓全体が適度に陽光を受けられるかを確認)
  • 風通しの状況(空気の流れが良く、湿気がこもりにくいかを確認)
  • 隣接する建物や周辺道路からの騒音レベル(静かな環境でお参りできるかを確認)

アクセスしやすいか

交通アクセスの便は、お墓参りの頻度やしやすさに影響する重要な要素です
自家用車を利用する場合はもちろん、公共交通機関を利用する場合も考慮に入れる必要があります。

ただし、利便性の高い立地は永代使用料が高額になる傾向があるため、以下のポイントをバランスよく検討することが大切です

検討項目メリットデメリット
都心部交通アクセスが便利で参拝しやすい永代使用料や管理費が高額になる傾向がある
郊外永代使用料や管理費を抑えられるアクセスに時間がかかる場合がある
地元近郊日常的にお参りがしやすい希望区画が制限される可能性がある

まとめ

お墓の建立には、お墓の種類の選択から場所の決定、実際の工事まで、多岐にわたる検討と準備が必要となります
費用面では150万円から300万円程度を見込むことが大切で、慎重な資金計画が重要です。

建立の手順は、お墓の種類選び、墓地選定、石材店との契約、工事実施、納骨という流れで進みます。
それぞれの段階で必要な書類や手続きもあるため、事前の確認が必要です。

場所の選定においても、宗派や宗旨による制約、管理状況、環境条件、交通アクセスなど、複数の観点から検討することが重要です。
特に、将来的な参拝のしやすさを考慮に入れた選択を心がけましょう

お墓を建てる際は、さまざまな面からの検討が求められます。
分からないことや不安なことは、墓地・霊園の管理者や石材店に相談の上、慎重に進めることをおすすめします

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