近年、終活という言葉を耳にする機会が増えてきましたね。テレビや新聞、インターネット上でも話題になっていることもあり、興味を持たれる方も多いのではないでしょうか?
終活は、必ずしも高齢になってから始めるものとは限りません。この記事では、終活を始めるタイミングについて年齢別に解説し、それぞれの時期に適した終活の進め方をご紹介します。
終活とは?
「終活(しゅうかつ)」とは、人生の最期を迎えるにあたり自分の意思や希望を整理して、家族や周囲の人々に迷惑をかけないように事前準備をしていくことを言います。財産分与や、相続の整理、お墓について遺言書を作成したり、エンディングノートに残しておくといいでしょう。また、亡くなった後のことだけでなく、晩年をどう過ごしたいのか、介護や医療の選択、最後を迎える場所についての希望などを記すことにより、判断能力が低下してもサポートしてくれる家族や周囲の人々に伝えることができます。
終活を考え始めるタイミング
終活を始めるタイミングには個人差がありますが、親の介護を経験したり、退職後に意識して始めることが多いと言われています。そのため、50代から60代にかけて終活を意識する人が増える傾向にあると言われますが、最近では家族構成の変化などを期に若い世代でも終活を始める人が増えてきていると言われていますよ。終活を始めるタイミングには決まりがないので、気づいた時に自分のペースで少しづつ進めていくことで急な事態にも対応することができるようになるでしょう。
【年齢別】終活の始め方と具体例
年齢やライフステージによって終活の始め方や、できることの具体的な解決内容や優先すべきことが異なります。ここでは各年代別に就活についての具体例をご紹介していきます。
30代から40代:終活の初期準備
30代から40代では終活の準備は「まだ早い」と思う人も多いかもしれません。しかし、この時期に準備を始めることにより、後々の人生の中で終活をスムーズに進めていくことができると言えます。また、30代から40代で終活を始めることにより、終活を始めていない親世代に終活を始めることを促すこともできるでしょう。この世代で行うべき具体例としては以下のようなものがあります。
- 身の回りの整理や断捨離
- エンディングノートの作成
- 生命保険の見直し
身の回りの整理や断捨離
30代から40代の終活で身の回りの整理や断捨離?と思う方もいるかもしれませんが、不要なものを処分していく習慣をつけておくことが大切だと言えるのです。また、不要なものだけではなく、人間関係においても付き合いのない友人を断捨離していくことで、万が一の時に誰に連絡するべきなのかがわかりやすくなります。
エンディングノートの作成
まずは簡単なエンディングノートを作成し、自分の意思や希望を整理することから始めましょう。SNSのアカウントやパスワード、デジタル財産についてもまとめておきましょう。簡単なエンディングノートであれば100円均一などでも購入することができます。エンディングノートには項目も記載されているので書きやすいですが、ハードルが高ければノートなどに書き出して少しづつ整理する程度でもいいでしょう。
生命保険の見直し
家庭や子供の将来を考え、生命保険や資産運用を見直すことも重要です。また、もしもの時に備えて、どのような生命保険に加入しているかを共有しておくことも大切です。生命保険についてもエンディングノートにまとめて記しておき、保険証書もまとめてファイリングするなどしておくとわかりやすくていいですね。
50代から60代:実際の準備を始めましょう
50代から60代になると実際に親の介護に直面したり、自身が退職したり大きな転機を迎えることが多い時期になるでしょう。このタイミングで終活と向き合い、具体的に進めておくことで残された時間を有意義に過ごしていくことができると言えます。
- 遺言書の作成
- 医療・介護に関する希望の確認
遺言書の作成
遺言書を作成し、財産分与や遺産相続に関するトラブルを回避しましょう。遺言書は本人の自筆で作成することもできますが、正しく作成していないと無効になってしまうこともあるので、不安な場合は専門家にお願いするといいでしょう。遺言書の専門家には、行政書士、司法書士、弁護士、税理士が挙げられます。遺言書の内容に合わせて依頼先を選定するといいでしょう。
医療・介護に関する希望の確認
将来の医療介護について判断能力が低下する前に自分の希望を家族に伝えておきましょう。事前指示書などを用意できることで、いざという時に家族が迷うことなく本人の希望に寄り添って対応することができます。
70代以上:身辺整理と家族への伝達
70代以上になると、実際の体力の衰えや、判断能力の低下、健康面での不安が増していくため、さらに具体的な準備を進めていく必要があると言えます。自分でしっかり判断できるうちに以下のことを進めていきましょう。
- 身辺整理
- 葬儀やお墓の準備
身辺整理
不要になったものや書類の整理を進め、自分がいなくなった後の家族の手間を減らしましょう。処分するだけではなく、使えるものは使ってもらいたい人に自分の手で譲るのもいいですね。
葬儀やお墓の準備
自分が希望する葬儀の形やお墓の場所について、事前に決めておくことも重要です。最近では「永代供養」や「樹木葬」などの選択肢も増えていますよ。葬儀については生前に契約しておくことも可能なので、自分の好みの演出を選んだり、料金についても比較することができます。もしもの時に、家族が慌てて葬儀社を探す手間が省けるのもメリットの一つと言えます。生前契約を家族が知らない場合、他社で葬儀が行われてしまう場合があるので生前に葬儀を契約する際は、家族にもしっかりと伝えておきましょう。
終活を早めに開始するメリットと注意点
終活を早めに始めることで家族の不安や負担を軽減させ、自分の意思をしっかりと伝えることができます。安心して将来を過ごしていくために終活を早めに行うことのメリットを知り、思い立った時に行動していきましょう。
メリット①精神的な安心感
終活を始めることで、自分の将来について考え、計画を立てることで精神的な安心感を得ることができます。また、自分だけでなく、周りでサポートしてくれる家族にとっても希望に添えることが安心感につながるでしょう。
メリット②家族とのコミュニケーションの向上
医療や介護、遺産に関することを事前に共有することで、家族間の意見の違いを調整し、いざという時もスムーズに対応することができるようになるでしょう。また、家族とコミュニケーションを取り、一緒に未来について考えることで家族の間での会話が増えて絆が結束されることが期待できるのもメリットの一つだと言えます。
注意点:終活を続ける際の負担
終活では、財産や相続に関する複雑な問題にたどり着いてしまうと家族と長期にわたって話し合う必要があるため、短期間で全てを決めてしまうことは難しいと言えます。そのため、終活を早い段階で始めることで大きな問題で起こりうる心労を未然に防ぐことができるでしょう。そうすれば解決しないことが出てきた時や、わからないことが出てきた時に、各分野の専門家のアドバイスを受けることもできます。家族とコミュニケーションを取りながら順番に進めることが重要だとも言えますね。
【遅すぎるとどうなる?】終活を後回しにするリスク
終活を後回しにすることで、どんなリスクが考えられるのでしょうか?起こりうるリスク4つを見ていきましょう。
- 遺産や財産の相続問題
- 葬儀やお墓の希望が叶わない
- 医療や介護に関する不安
- ペットとの暮らしについて
遺産や財産の相続問題
終活が行われていない場合、遺産や財産の相続に関して家族間でトラブルが発生する可能性があります。遺言書が用意されていないと、相続手続きが複雑になり、親族間の争いに発展することもあるでしょう。万が一負の負債があった場合には、残された財産の内容次第では相続放棄の必要性なども考えられるからです。相続放棄をすることで相続人とはみなされないため相続権が消滅し、負の負債の返済義務や未払い金などの支払い義務もなくなります。
葬儀やお墓の希望が叶わない
終活で、自分の希望する葬儀やお墓の形を事前に伝えておかないと、残された家族が判断に迷い、故人の意図とは異なる形になり、家族にとっても精神的・経済的な負担が大きくなる可能性があります。
医療や介護に関する不安
終末期医療や介護の希望を明確にしておきましょう。病気や事故で判断能力が低下した際に、自分の意思が反映されない治療や介護を受ける可能性があります。その場合、家族にも急な判断が迫られ、精神的な負担が増加します。これらのリスクは、事前に終活を進めることで回避しやすくなります。
ペットとの暮らしについて
ペットを飼っている場合、自分がペットの世話をできなくなった時に備えて、引き取り手を探しておきましょう。飼い主が病気や介護で入院したり先に亡くなったりしたら、ペットが取り残され、路頭に迷ってしまいます。新たな引き取り先としては主に家族や親族が挙げられますが、全員がペットを飼える状況ではない可能性もあります。
その場合は「ペット信託」や「犬・猫ホーム」などの選択肢もあることを覚えておくとよいでしょう。終活を行う中でペットの健康状態や医療記録も一緒にエンディングノートに記しておくとわかりやすくていいですね。
【まとめ】終活は早ければ早いに越したことはない!
いかがでしたか?終活は、年齢を重ねた人だけが行うべきものではなく、若い世代でもその重要性を意識することが大切だと言えます。早い段階から準備を始めることで、精神的な安心感が得られ、家族とのコミュニケーションを深めることができます。また、緊急時もスムーズに対応できるようになりますよ。最も重要なことは、終活を始めるタイミングに「早すぎることはない」という点です。何歳でも、今からできることはたくさんあります。少しずつでも準備を進め、後悔のない人生の最終期を迎えるための一歩を踏み出しましょう。