終活というとエンディングノートを書いたり、葬儀やお墓について家族で話し合う印象がありますが、残すものと捨てるものを選び、家の中を片付けるのも終活の一つです。持ち物を整理しておくと、残された家族にとっても後片付けが楽になります。
自分自身も体力や思考力の低下が予想されるため、部屋が片付いている方が転倒などのけがを防げるため、安全な暮らしができます。とはいえ、終活における片づけとはどのように続ければ良いのかわからない方も多いでしょう。ここからは、片づけをするときのコツやスムーズに片づける手順について紹介します。
終活における片づけのメリット
終活における片づけには、自分自身にとっても家族にとってもメリットがたくさんあります。メリットを知っていると片づけをするモチベーションにもなりますよね。この章では、片づけのメリットをいくつか紹介していきますので、参考にしながら片づけの準備を始めましょう。
物の管理が楽になる
物が多いと、物の置き場がわからず探し物をすることになったり、修理が億劫になり壊れた物がそのままになってしまったり、管理がしづらくなります。自分でケアできる分のものだけ手もとに残すと、老後も余裕を持って暮らせます。
書類やデータなども、何に使うものかすぐにわかるように仕分けしておくと、急に必要になった時に便利です。これから年を重ねると、今以上に物の管理やメンテナンスは億劫になります。体力があって元気なうちに、細かい仕分けの作業や、不要なものを手放す作業をしておきましょう。
片づけの最中に、手元に残すものでメンテナンスが必要なものが見つかれば、その都度対応しておくと今後しばらく手を加える必要がなくなるので安心です。
老後の怪我のリスクを減らせる

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物が多く、使いづらい動線の部屋は怪我の原因になります。人の生活スタイルは数年で変わっていくものなので、何年もずっと同じままの動線では居心地が悪くなることもあるでしょう。使わなくなった大きな家具や家電を手放せば、部屋も広くなり、動きやすくなるため、怪我のリスクを減らせます。
また、壊れているものをそのままにしておくと、地震などの災害時に被害が増すので危険です。物が整理されていると掃除がしやすく、修繕が必要な場所も明らかになります。片づけることで、家の中を見つめ直すきっかけにもなり、老後を安全に暮らせる環境を整えておけます。
家族の負担が軽減できる
残された家族にとって大変なのは、私たちが旅立ったあとの物の片づけです。残されたものは、家族にとっても思い出の品であったり、私たちとの繋がりを感じられたりするので簡単に捨てられないことが多いです。そのため、故人が亡くなった後も家の中に物がそのまま置いてあり、ごみ屋敷化するケースもあります。
本人にしかわからない書類も、残された家族は処分に困ります。家族に託すものは処分の仕方や扱い方をきちんと伝えておき、不要なものは処分しておくと家族の負担が減るでしょう。終活として片づけをするときは、家族と一緒に行うと効率よく家族に必要事項を伝えながら処分できます。
終活における片づけのコツ
次に、終活における片づけのコツについてお伝えします。終活における片づけは、残された家族がなるべく大変な思いをしないようにある程度は仕上がっている方が良いです。少しずつでも途中でやめてしまわないで、最後まで片づけられるコツを知っておきましょう。
- 体調が良いときに行う
- 1年を通してコツコツする
- 毎年1度は持ち物を見直す
元気な時に行う
年を重ねると、体力や筋力が落ち、さらに風邪などにもかかりやすくなります。片づけは体力や集中力がいる作業ですので、体調が悪い時に行うと悪化させてしまうかもしれません。感染症は大きな病気に繋がる可能性もあるので、体が元気な時に片づけに取り掛かりましょう。
元気だからといって後回しにしていると、いつ突然身動きが取れなくなるかもわかりません。同居している家族の体調が悪くなると自分も看病や、日常の世話で片づけをする時間がなくなることもあります。私の叔母も、叔父の体調が悪くなってから数年間他のことはほとんどできませんでした。
叔父の生前整理もほとんどできないままだったので、葬式後も悲しむ暇もなく忙しくしていました。自分も家族も、元気で体力がまだあると感じるうちに始めるのが片づけをやり遂げるコツです。
少しずつ1年を通して行うつもりで
1度に全て片付けようとすると、範囲も広く量も多いため、片づけを続ける意欲も下がってしまいます。衣類や季節ものなど、決まった時期に出すものは、その時期になってみないと使うかどうかわからないこともあるでしょう。そこで、1年を通して片づけていくつもりでいると気持ちに余裕ができ、片づけを継続できます。
長期休暇などに家族が帰ってくる場合は、その都度家族に捨てるものや必要なものを確認してもらえるので、あらかじめ家族に尋ねるものをまとめておくと良いでしょう。また、1年をかけて片づけをすると、片づけをする場所も細かく分けられます。
片づけをする場所を細かく分けると、時間が無くても1箇所ずつ進めていけます。さらに、1年を通して片づければ、捨てるか悩むものを1年の間にじっくり考えられるので、保留にしておくことができるのもメリットです。
毎年1度は持ち物を見直す
片づけは、1度で終わるのではなく、毎年持ち物の見直しをするのがおすすめです。年を経るにつれて必要な物は変わっていくため、その都度不要なものが出てきたら手放しましょう。捨てるかどうか迷うものも、毎年見直す機会があればいずれ手放せるようになります。
1度しっかり片づけておくと、何を持っているか把握できるため、翌年からは片づけも楽です。さらに、リストを作り、捨てるか迷ったもの、目的があって置いてあるもの、家族に相談したいものなどに分けておくと、見直すときに便利ですね。
失敗しない片づけの進め方
1年を通して片づけていくとしても、忙しい時期や体調が優れない時期など、スムーズに片づけが進められるとは限りません。必要なものと不要なものを選ぶのに、時間がかかることもあるでしょう。ここからは、途中で諦めてしまわず、最後まで片づけられるための上手な片づけの進め方を紹介します。
①押し入れやクローゼットの中から整理する
片づけを始める際、まずは収納場所の確保が必要です。せっかく物を減らしても、収納場所がなく収納用具を買い足してしまっては片づけの意味がありません。また、老後を安全に過ごすために部屋の中に物をなるべく置かないようにしたいものです。
そこで、押し入れやクローゼットなど中にしまうことができる収納箇所を最初に整理しましょう。押し入れやクローゼットの中を一度全て出し、不要なものは捨てて空間を作るように意識します。できた空間は無理に埋めるのではなく、しまうものが出てきたらその空間にしまいましょう。
押し入れの中は特に、使わずに何年も置いているものがあるはずです。3年以上使っていないものは手放すようにします。それでも捨てるべきか迷うものは、すぐに取り出せるように置いておきましょう。それでもなかなか使わない場合は今後も使わない可能性が高いものです。
②大きなものを処分する

不用品回収受付センター
次に、部屋のスペースを確保するために大きなものから処分していきます。家電と家具で使っていないものは、家族や友人に譲るか、リサイクルショップに持ち込むのがおすすめです。捨てるのに費用がかかると処分するのが勿体なく感じてしまい、片づけが進みません。人に譲ったり売ったりして、費用をかけないように工夫すると良いでしょう。
大きなものは移動時に怪我に繋がる恐れがあるため、なるべく家族に手伝ってもらうか、業者に依頼するのがベストです。大きなものをどけた場合も、そのスペースにすぐにものを置くのではなく、しばらく空いたスペースをそのままにして過ごしてみてください。
広い部屋に一度慣れると、物を増やしたいと思わなくなります。なるべくものを少なくして過ごすためにも、少しずつ部屋の中から物を減らしていくようにしていきましょう。
③書類や写真を仕分けする
書類や写真などの仕分けは時間がかかるので、必ず大きなものを片付けてある程度部屋の雰囲気が変わってから取り掛かるのが良いです。私も何度か部屋の片づけをしてきましたが、片づけても片づけ前とあまり変わっていなければ、モチベーションが下がり最後までやり遂げられなくなりました。
細かい場所の片づけは、残された家族にとっても処理が面倒なのではないかと最初にしようと意気込む人が多いですが、量が膨大なため諦めてしまうことも多いのです。書類や写真はデータ化して、パソコン上やメモリスティックなどに保存し、家族に保存場所を伝えておきましょう。
スキャンするためのプリンターがなくても、スマホで写真を撮って保存しておくだけでも充分確認できます。この時、写真がブレていないか、文字を拡大してしっかり読めるかチェックしておくと安心です。
④見落としやすいベランダや倉庫などもチェック
終活における片づけは、家の中をメインに行いますが、家の外にも少し注目してみてください。庭の草木が生い茂っていたり、倉庫の中が物であふれていたり、普段なかなか手をつけられないというところはありませんか。庭の草木は業者に任せるなどし、一度しっかり剪定しておくと、窓から見る外の景色を楽しめるようになります。
老後は家の中で過ごすことが増えるため、庭やベランダも整えて過ごしやすくしておくと楽しみが増えるでしょう。また、家の外も物が多かったり草木や砂利の手入れを怠っていたりすると、怪我の原因になり得ます。見渡した際、危ないものがないかすぐに判断できる程度に整えておくと良いでしょう。
まとめ
終活で片づけをする際は、残された家族や老後の自分に負担がかからないようにという目的を意識して行いましょう。そのためにも、ゆっくりでも最後までやり切ることが大切です。1度しっかり1年を通して片づけし、その後は不要なものがないかチェックしながら片づけを日常に取り入れていくと、少しずつものを減らしていけます。
少ないものの中で暮らすと、もので満たすことではなく家族や周りの人との触れ合いに意識が向きやすくなるので、豊かな老後が送れるのではないかと思います。