終活はどうしてもネガティブなイメージがあるので、親に終活の話をしづらい人も多いでしょう。
とはいえ、終活は親が健在のうちに進めていかないと、いざと言う時に大変な思いをしてしまいます。
そこで今回は、無理なく親に終活を勧めるための方法について解説します。
終活の内容や進め方についても併せて紹介するので、親に終活をしてほしいと考えている人はぜひ目を通してください。
親が終活に取り組むメリット
終活とは、単に親の私物を相続をするだけのものではありません。
自分はもちろん、遺された人にも大きなメリットがたくさんあるため、なるべく早期から進めておいたほうがよいです。
終活に乗り気でない親を説得するためにも、終活にどんなメリットがあるのかを知っておきましょう。
終活が自分にも子供にもメリットがあると感じれば、終活に取り組んでくれる確率も上げられます。
遺品整理の負担が軽くなる
親の死後、最も大変な作業が遺品の整理です。
遺族にとって遺品の多くは、処分しても問題ないものであると同時に、親が残した大切なものでもあります。
そのため、遺品の扱いに悩んでしまい、なかなか整理を進められない人は少なくありません。
親が主導になって終活をすれば、必要なものと不要なものの判断ができるため、整理も簡単に進められます。
また、不要なものが減れば部屋が広くなったり、躓いて転倒するリスクを減らせたりと、親自身にとってもメリットは大きいです。
自分の希望を伝えられる
終活をしておけば、自分の希望を子供などに伝えられます。
そうすれば老後の医療や介護、死後に入る葬儀やお墓などの希望を叶えやすいです。
死後はもちろん、病気が進行したり痴ほうになってしまったりしてからでは、自分の希望も満足に伝えられません。
自分がどうしたいのかを正確に伝えるためにも、元気なうちから終活に取り組むことが重要です。
肉体労働を手伝ってもらえる
親が元気なうちから終活を進めることで、子供に肉体労働を手伝ってもらえます。
親にとっては重労働であっても、子供に頼めばすんなり終わる作業は少なくありません。
自分が年老いてからでは、指示を出すのも大変ですし、子供も年齢を重ねれば同じく肉体労働が難しくなってしまいます。
作業を効率的におこなうという意味でも、親が健在の内から終活を進めることは、大きなメリットです。
親に終活をすすめるおすすめの方法
終活はイメージが悪いので、どうしても親に勧めづらいことも事実です。
言い方を間違えてしまうと喧嘩の原因にもなってしまい、余計に終活を進めてもらえません。
そこでここでは、親に終活を勧めるためにおすすめの方法を紹介します。
いずれも、自然な流れで終活の話ができるため、親を刺激せずに終活への意識を高められる点が特徴です。
自分も一緒に終活する
終活は親より先に自分が始めることで、自然に終活の話を切り出せます。
自分がしていることであれば、親にも話を聞いてもらいやすいですし、機嫌を損ねる確率も低いです。
また、終活について分からないことや、考え方を親に相談することで、親の中にも終活の必要性や、重要性が少しずつ根付いていきます。
自分から先に始める終活は、終活を直接的に勧めることなく、親をその気にさせるのに効果的です。
終活がテーマの作品を見る
直接話に出すのが難しい場合は、終活がテーマの作品を一緒に見るのも効果的です。
映画やドラマ、書籍やテレビ番組など内容はどんなものでも構いません。
感想を言い合ったり、自分の考えを伝えたりするなかで、終活に対する親の考え方も把握できます。
私の友人は、映画「おくりびと」を一緒に見たさいに、 親が自分の死について考え、終活の話をしてきたと言っていました。終活や死をテーマとした作品は、国内外問わずたくさんあるので、親が元気なうちに一緒に見てみることをおすすめします。
老後の希望を確認する
まどろっこしいことをせずシンプルに終活の話をしたいなら、終活としてではなく老後の希望について聞いてみましょう。
老後の過ごし方や介護の話であれば、そこまで抵抗なく話をしてくれる親も多いです。
老後の話をしながら、両親の様子を観察して少しずつお墓や遺産、遺言など死後の話も聞いてみましょう。
自然な会話のなかだけでも、終活に必要な情報はある程度収集できます。
親の終活で手伝えること
終活はやることが多いので、親だけで黙々と進めてもらうのは難しいです。
そのため、こちらからある程度何をすべきなのかを指示したり、手伝ってあげたりすると、親も悩まずに取り組めます。
ここでは、子供が親の終活に対して手伝えることについて、いくつかまとめました。
親の負担を軽くしたり、行動するためのハードルを下げたりといったことは子供にもできるので、ぜひ参考にしてください。
必要な作業をリストアップ
親にしてほしい作業は、あらかじめリストアップして渡しておくことをおすすめします。
自分が親と一緒にいないときでも、親が迷わず終活を進めるための道しるべになってくれるからです。
リストアップする内容としては、以下を参考にしてください。
- エンディングノートを書く
- 物品の処分
- 財産管理
- 遺言状
- 医療・介護の希望
- お墓・葬儀の希望
- デジタルデータの管理
やることがたくさんあると気後れしてしまうかもしれませんが、最初はできることからでいいと伝えておけば、少しずつでも進めてくれやすいです。
不用品の処分を手伝う
年齢を重ねた親にとっては、肉体労働の不用品処分は思った以上にハードルが高いです。
そのため、力仕事は子供が手伝えば、スムーズに終わらせられます。
子供としても、片づける際に家にどんなものが残っているのか把握できるので、一石二鳥です。
ただし、親が捨てたくないものを無理に捨てようとすると、喧嘩の原因になってしまうので注意してください。
あくまで手伝うのは力仕事だけで、処分の可否などは親の意向を尊重させましょう。
エンディングノートをプレゼント
エンディングノートはわざわざ買いに行くのも面倒なので、こちらからプレゼントしてあげることをおすすめします。
ノートであればどんなものでも問題ないので、費用もそこまでかかりません。
ノートさえ手元にあれば、親はいつでも気軽に書き足せるため、終活に対するモチベーションも保ちやすいです。
ただしエンディングノートは、親がある程度終活に前向きなことを確認してから渡しましょう。
親が否定的なうちからエンディングノートを渡しても、口論に発展しかねません。
エンディングノートの書き方
終活を何から始めるか悩んでいる人におすすめなのが、エンディングノートの作成です。
エンディングノートは手軽に取り組めるうえに、終活で必要な情報をノート一冊に網羅できるので、いざという時にも役立ちます。
ここでは、エンディングノートに書く内容や、書き方のポイントをまとめました。
しっかり書かれたエンディングノートがあれば、それだけでも終活への備えは十分可能なので、ぜひ取り組んでみてください。
自分の希望や考えを書く
エンディングノートの中身は、主に自分の考えや希望です。
老後の希望や葬儀の内容、お墓の有無に遺産の分け方など、自分が意思疎通できなくなったあとに、知っておいて欲しいことを書きましょう。
勘違いしやすい点ですが、エンディングノートには法的効力がありません。
裏を返せば、細かいルールや書式を気にせず書けるので、自分の思うまま書き連ねるだけでも、立派なエンディングノートとになる言えます。
エンディングノートの内容
エンディングノートの内容としては、主に以下の内容が挙げられます。
- 遺言状の有無
- 財産や資産の管理
- 老後の医療や介護の希望
- 葬儀屋お墓の希望
- 親しい人への連絡先
- デジタルデータ管理用のパスワード
- 家族や友人への感謝
すべてを網羅する必要はないので、遺された人にとって必要となる情報や、自分が伝えたい情報を記載していきましょう。
前述した通り、エンディングノートに法的効力はないため、自分が思ったまま書き連ねていけば大丈夫です。
内容は定期的に見直す
書いたエンディングノートは、定期的に見直して加筆修正していきましょう。
時間が経てば、考えや環境が変わることもあるからです。
自分の中で価値観の変わるタイミングがあれば、そのたびに見直しましょう。
また、エンディングノートには書くべきことが多いので、それぞれの内容で悩み過ぎるとなかなか書き進められません。
見直しや書き直しは何度でもできるので、、最初はとりあえず思ったことをそのまま書いていくのもおすすめです。
ポジティブに話をすれば、親にも終活に取り組んでもらいやすい
終活の話をするときは、どうしてもネガティブになってしまいがちです。
しかし、今回紹介したように終活には、早めに取り組むだけのメリットがたくさんあります。
ポジティブな気持ちで終活のメリットを伝えられれば、親にも理解してもらいやすいです。
親が終活を始めたら、可能な限り手助けをして一緒に進めていくと、親も安心できます。
親と離れていて直接的な手伝いが難しいなら、エンディングノートをプレゼントするところから始めてみましょう。