終活は、自分や遺される人のためにおこなうことが一般的です。しかし、ペットを飼っているならペットに対する終活も併せておこなう必要があります。
自分にもしものことがあった場合、遺されるのはペットも同じです。苦楽を共にしたペットが辛い思いをしないためにも、ペットへの終活は必須と言えます。
そこで今回は、ペットに対する終活の必要性や、備える内容について紹介します。今現在ペットを飼っている人はもちろん、将来ペットを飼いたいと考えている人も、ぜひ目を通してください。
ペットに対する終活の必要性
人間以外に対して終活をおこなうことに、ピンと来ていない人も多いのではないでしょうか。しかし、ペットに対して終活をおこなう行為は、自分とペットの双方に利点があります。
ペットだけでなく、自分が不安なく老後を過ごすためにも、終活はペットも一緒におこなうべきです。ここでは、ペットに対する終活の必要性について解説します。
ペットロスのストレスを軽減できる
ペットの終活を済ませておくことで、急にペットを失った際の、ペットロスに対するストレスを軽減できます。ペットとの別れに対して心の準備ができるので、気持ちの整理をつける時間を作れるのは大切なことです。
終活をしておかないと、自身の急なけがや病気が原因でペットと離れ離れになってしまった場合、後悔が大きく残ってしまいます。ペットとの別れはいつか必ず訪れるので、いざと言う時の悲しみを少しでも軽減するために、終活で心の準備をしておくべきです。
ペットの生活の質を落とさずに済む
急なけがや病気でペットの世話ができなくなったとき、飼い主だけでなくペット側もつらい思いをする可能性があります。ペットは相続上物として扱われるため、相続相手が引き取ってくれなければ、どこに引き取られるかわかりません。
ペットの終活を事前に済ませておけば、自分に万が一のことがあってもペットの行先を決めておけるので、ペットの生活の質をある程度担保できます。飼い主のストレスを軽減できるのはもちろん、ペット側も快適な生活を送れる確率が高いため、双方にとってメリットが大きいです。
ペットとの終活において知っておくべきこと
ペットに対する終活の必要性が分かったところで、続いては終活で知っておくべきことを解説します。考えておくべきポイントは、主にペットの平均寿命と医療費の2つです。
終活について考えるにしても、将来のリスクに備えるにしても、まずはこの2つに対して知識を持っていないと正しい備えはできません。これからペットを飼う人にも役立つので、知識として覚えておきましょう。
ペットの平均寿命
引用:犬・猫の平均寿命は更に延伸、高齢犬・猫の診療費も調査~世界最大規模のペット統計データ集 アニコム『家庭どうぶつ白書2023』公開~ | ニュース | ホールディングス ニュースリリース
引用:犬・猫の平均寿命は更に延伸、高齢犬・猫の診療費も調査~世界最大規模のペット統計データ集 アニコム『家庭どうぶつ白書2023』公開~ | ニュース | ホールディングス ニュースリリース
上記のデータによると、犬の平均寿命は14.2歳、猫の平均寿命は14.7歳です。ペットを購入してから、少なくとも10年以上は一緒に暮らすことになると言えます。
10年~15年の期間があれば、ライフスタイルの変化も十分考えられますし、年齢によっては自分にも万が一のことがあるかもしれません。犬や猫といったペットがこれだけの長期間生き続けるということは、ペットを飼う人すべてが知っておくべき事柄と言えます。
ペットの診療費
引用:ペットの犬猫平均寿命が過去最高に | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
上記の表は、犬と猫の平均診療費を年齢別にまとめたものです。人と同様、ペットも年齢とともに診療費が増加していき、平均で年間20万円程の費用が発生しています。
また、手術や慢性的な病気の治療をおこなう場合、さらに費用がかかるケースも少なくありません。人と違って費用は全額自己負担なので、一度に50万円程の出費が発生する可能性もあります。ペットのけがや病気の具合次第で、思わぬ高額費用がかかる可能性は、留意しておきましょう。
ペットと一緒におこなう終活の内容
ペットに対する終活とは、自分が動けなくなった時に備えて、ペットが不自由しないようにしておくものです。そのため、遺された人に対しておこなう終活とは、備える内容がやや異なります。
具体的な内容ややっておくべきことを紹介するので、自分やペットが元気なうちに一通り決めておきましょう。
- 介護の方法を決める
- 引き取り先の選定
- 元気なうちに思い出をたくさん作る
介護の方法を決める
自分やペットに介護が必要になった場合、ペットをだれに世話をしてもらうのかを決めておきましょう。自分が元気でも、生活スタイルの関係でペットの介護ができないケースがあるため、自分以外に頼れる相手を探しておくべきです。
家族や親せきに頼るのはもちろん、ペット用の介護ホームを利用するのも選択肢に挙げられます。身内に頼む場合、急に相談すると対応してもらえない可能性もあるため、事前に話をしておきましょう。また、自分が直接相談できなくなった場合に備えて、エンディングノートなどに記載しておくことも効果的です。
引き取り先の選定
自分がペットの世話をできなくなったとき、引き取ってもらう相手をあらかじめ決めておきましょう。引き取り先が決まっていれば安心してペットを預けられますし、ペットの生活の質も担保されます。
家族に頼れない場合の引き取り先としておすすめなのが、ペット信託です。ペット信託とは、世話ができなくなった飼い主に代わって、信頼できる人や団体にペットを託す仕組みのことをいいます。
飼い主が亡くなったときだけでなく、けがや病気で買えなくなった場合でも対応してもらえるので、幅広いリスクに備えられます。また、ペットを飼う人と費用を受け持つ人は別なので、ペットに安定した生活を保証できる点も、大きなメリットです。
- ペットの世話をする人と費用を管理する人が別なので、ペットの生活が安定しやすい
- 死亡時だけでなく、飼えなくなったとき全般に対応している
元気なうちに思い出をたくさん作る
ペットと別れる不安を解消する一番の方法は、ペットが元気なうちからたくさんの思い出を作っておくことです。思い出がたくさんあっても悲しい気持ちは消えませんが、後悔の気持ちは大きく減らせます。
ただ遊ぶだけでなく、動画や写真を残しておけば、自分が動けなくなったあとでもペットとの思い出を振り返れます。また、ペットとの日々を日記にしたためておくのも、後悔の気持ちを和らげるのには効果的です。
ペット保険で備えるのは割に合わない?リスクを解説
前述した通り、ペットの医療費は年齢を重ねるほど高額になっていきます。大きな出費に対して、ペット保険で備えようと考える人も多いでしょう。
しかし、ペット保険は万能ではありません。むしろ、仕組み上十分な備えになり得ないケースも多々あるため、ペット保険だけで医療費を賄うのは難しいと言えます。
ここでは、ペット保険だけに頼ることのリスクについて紹介します。ペット保険に入っておけば安心!とは言えないため、必ず頭に入れておきましょう。
ペット保険は毎年更新される
ペット保険は、毎年契約が更新されます。そのため、ペットのけがや病気などで保険を使った場合、翌年から更新ができないケースも多いです。
私も小さいころに犬を飼っていましたが、大きな病気で保険を使った翌年から、保険の更新ができませんでした。結果、その後数年に渡って医療費を支払うために、お金がたくさん必要だったと両親が話していたのを覚えています。
確かにけがや病気になった最初の年は、保険で医療費を賄えます。しかし、翌年から保険を更新できなければ、以降の医療費は結局全額負担となってしまう点は、留意しておきましょう。
高齢になると保険に入れない
ペットのけがや病気が増加するのは、人と同じく高齢になってからです。しかし、多くのペット保険は10歳前後を上限に、加入ができなくなります。事前に加入していたとしても、前述したように保険の利用をきっかけに更新を断られるケースも多いです。
しかも、ペットの病気は慢性的なものが多く、毎年病院のお世話になるケースも少なくありません。結局、亡くなるまでの数年間は、保険なしで医療費を賄う必要がでてきます。
保険が途中で更新できなくなるリスクがある以上、保険だけで医療費のすべてを賄うことはできません。保険の有無にかかわらず、ペットの医療費は貯めておく必要があります。
ペット保険に頼らない備え方
ペット保険に頼らずに備えるためには、医療費をあらかじめ貯蓄しておくしかありません。犬や猫は、生涯で約100万円ほどの医療費がかかると言われているので、生活費とは別にそれだけのお金を貯蓄しておく必要があります。
幸い、ペットの寿命は平均14歳前後と長生きです。意識的に貯めていけば、約10年間で100万円を貯めることは決して不可能ではありません。
保険に頼っても金銭的に安心はできない以上、自分でお金を貯めていくことが大切です。ペットの老後でお金に苦労しないためにも、医療費は保険ではなく自分で用意する意識を持ちましょう。
終活を済ませておけば自分もペットも安心!
ペットの終活をあらかじめおこなうことで、自分やペットの老後に対する不安が減るため、安心して生活できます。ペットは大切な家族ですが、自分以外が同じように扱ってくれる保証がない以上、自分が備えておくことが大切です。
ペットの終活で考えるべきなのは、主に寿命と医療費です。長生きしたペットを世話をしてくれる相手を探しておいたり、保険だけに頼らずペットの医療費を自分で用意したりして、万全な老後を迎えましょう。