墓じまいに呼ばれたらどうする?服装・お布施のマナーと持ち物を徹底解説!

近年「墓じまい」という言葉をよく耳にするようになりました。いざ、自分が墓じまいに呼ばれたら、何を準備していいわからないことが多いかと思います。
そこでこの記事では、墓じまいに呼ばれたときの服装やお布施のマナー、持ち物について解説します。これから墓じまいに行く方はぜひ最後までご覧ください。

目次

墓じまいとは

現在の墓石を撤去し墓地を更地にして、管理者へ返却することです。お墓は寺院や霊園の土地を借りて建てています。お墓からご遺骨を移送するには、土地の使用権を返還する必要があります。
墓じまいをする人は、毎年増加傾向です。その背景には、「お墓を管理する人がいない」「お墓が遠くにあってお墓参りできない」などの理由が挙げられます。

墓じまいに呼ばれたときの服装

墓じまいにはどんな服装で参列すればよいのか迷いますよね。「他の参列者はどのような服装で来るのかな」「場違いな服装ではないかな」様々な疑問が浮かぶかと思います。その場に適した服装で、マナーを守って参列しましょう

僧侶を呼ぶ魂抜きの場合

僧侶を呼びお経をあげてもらう場合は、喪服を着用します。法事で着用する喪服で略式喪服が好ましいでしょう。喪服は格式によって三段階に分けられます。正喪服・準喪服・略喪服です。略喪服は急な弔問、三回忌以降の法要で着る、礼服ではない地味めで自由度の高い服装です。

着用する場面対象者
正喪服お通夜・お葬式・三回忌までの法要喪主、三親等までの遺族
準喪服お通夜・お葬式・法要喪主・親族、参列者
略喪服平服を指定された場合や、急な弔問、三回忌以降の法用参列者、学生、子供

親戚が多い場合

略喪服を着用しましょう。それ以外の服装はマナー違反になるので、注意が必要です。その場で浮いた存在となり、後の親族トラブルにつながりかねません。

身内だけの場合

身内だけの場合も略喪服を着用しましょう。喪服を着用することが一般的なマナーとされています。故人の冥福を祈ることが目的です。喪に服すためにも派手な服装やおしゃれは控えましょう。

お坊さんを呼ばない場合

お坊さんを呼ばない場合でも、一般的に喪服を着用します。ただし、身内だけの場合は私服でもよいとされています。その際は、黒や紺など落ち着いた色の服を選びましょう。

対象服装のマナー
男性黒・紺・グレーなどのダークスーツ
女性黒・紺・グレーなどのダークスーツ、ワンピース
子ども黒・紺・グレーなどのダークスーツ学生服やリクルートスーツ

墓じまいに呼ばれたときのお布施のマナー

墓じまいにはお布施のマナーもあります。お布施の費用相場やお布施を入れる袋はどのようなものを選べばよいのかを解説します。

お布施とは

僧侶に何かをしていただいたお礼として、お金を渡します。お布施が生まれたのは、信者に功徳(くどく)を積んでもらう修行です。僧侶が信者の各家をめぐり、生活に必要最低限のものを施してもらっていました。
功徳とは、よい行いはよい結果をもたらすという意味です。

閉眼供養(魂抜き)のお布施

一般的な金額は、檀家5千~3万、檀家以外1万~3万とされています。ただし、正確な金額は決まっていません。あくまでも、感謝の気持ちを包むことが目的です。無理のない範囲で感謝の意を伝えられるとよいでしょう。

お布施の封筒と表書き

お布施を入れる封筒は黄白の水引が付いたお布施袋を選びましょう。閉眼供養は弔事です。
その他として、白い封筒に自身でお布施と明記してもよいです。市販の封筒で、お布施と印刷されたものも使用することもできます。
表書きは筆ペンや毛筆で書くことをおすすめします。

お車代も準備しておこう

お車代は、僧侶がお墓まで出向いてくれたお礼に渡します。交通費と考えるとわかりやすいでしょう。
僧侶自身で移動した場合に必要な謝礼です。遺族が送迎をする場合は準備する必要はありません。
費用相場は3,000~10,000円です。金額の決め方がわからない人は、移動距離を基準とし相談して決めるとよいでしょう。なお、お車代はお布施とは別の封筒に入れてお渡しするのがマナーです。

墓じまい当日の流れ

墓じまい当日の流れを事前に確認しておきましょう。事前の流れが頭に入っていると安心です。当日は以下の7つの流れに沿って進められていきます。

墓じまい当日の流れ
  1. お墓の掃除
  2. 僧侶への挨拶
  3. 供物のお供え
  4. 読経の魂抜き(閉眼供養)
  5. 会食
  6. ご遺骨の取り出し
  7. 墓石の撤去工事

1.お墓の掃除

お墓の周りの雑草を抜き、ゴミ拾いをしてお墓をきれいにしておきます。墓石は、やわらかいスポンジや雑巾で汚れを落とします。なお、できれば掃除は前日までに行っておくとよいでしょう。最近お墓に行けていない人やお墓の汚れが気になる人は、墓じまいの前に大掃除を済ませておくと安心です。

2.僧侶への挨拶

「本日はどうぞよろしくお願いいたします。」と簡単な挨拶を済ませ、お布施を渡しましょう。お布施は必ず袱紗に包んで持ち運び、袱紗から出して渡します
袱紗の色も、寒色系で落ち着いた色を選ぶとよいでしょう。また、濃い紫色は慶弔両方に使えるので、袱紗は1つあれば十分という方におすすめです。

袱紗とは

冠婚葬祭で香典やご祝儀を包む布を指します。袱紗に金封を包むことで、相手への敬意を表しています。金封を汚れたり折れたりしないよう防ぎます。金封を袱紗に包むことは、大人のマナーとしてぜひ覚えておきましょう。

3.供物のお供え

お供え物として、季節の果物や食べ物を準備しましょう。選び方のポイントは複数人で分けやすいものがよいです。親戚が参加している場合は、供物を分けて渡します。基本的にはお墓参りのときと同じ、五供(ごく、ごくう)をお供えします。五供とは、先祖のを敬う気持ちを表すための5つのお供え物です。ただし、供花やお線香の本数などは宗教や地域によって異なるので、注意が必要です。

お供え物意味
故人へのお供え、墓石を清める
供花(くげ)故人へのお供え、生きる者へ
飲食(おんじき)毎日の食事があることへの感謝
燈明(とうみょう)(一般的にロウソクをお供えする)この世とあの世を繋ぐ道を照らす
香 (こう)   (お線香や焼香)故人の食べ物、場や心を清める

4.読経の魂抜き(閉眼供養)

読経の魂抜きとは、お墓や仏壇から魂を抜くために僧侶が読経をあげる儀式です。宗派や地域によって閉眼供養(へいげんくよう)とも呼ばれます。所要時間は30分~1時間ほどです。
僧侶が読経をあげている間は、故人と関係が近かった人からお焼香をあげていきます。順番を待つ間は、合掌をしてお祈りしましょう。

5.会食

会食は必ずあるわけではありません。各家庭の考え方によって異なるので、会食の予定がある場合は会場へ移動します。会食の際は、故人の思い出話や祖先の話をするとその気持ちが届くでしょう。日常の1コマで、故人を思い出すことが何よりの供養となります。

6.ご遺骨の取り出し

カロートからご遺骨を取り出します。カロートとは、ご遺骨を安置する空間です。墓石の支柱ともなる重要な場所です。カロートに骨壺が収められています。骨壺に入っていないご遺骨は、手差しで集めてさらし袋に入れます。
カロートの下も掘り起こし、残されたご遺骨がないか入念に確認します。

7.墓石の撤去工事

ブロックのカロートと竿石の合祀を撤去します。自走式の小型クレーン車が使われることもあります。狭い路地でも活躍する通称カニクレーンは、1トンほどの墓石を吊り上げることができます。
なお、墓石の撤去工事への立ち合いは必須ではありません。お墓の現状を確認したい、撤去後の墓所を確認したい場合は立ち会うとよいでしょう。立ち合いが難しい場合は、業者に作業現場の写真を共有してもらえるか確認すると安心ですね。

墓じまい当日の持ち物

墓じまい当日に必要な持ち物は、以下のとおりです。
なお、掃除道具はお寺で貸してもらえることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

墓じまい当日の持ち物

・掃除道具(バケツ、雑巾、スポンジ、タワシ、ホウキなど)

・供物のお供え

・マッチ、ライター(複数個あると便利)

・数珠

・ハンカチ

・お布施

・お車代

墓じまいに呼ばれたら香典を持参するの?

墓じまいに立ち会う際に、香典は持っていく必要はありません。そもそも香典とは、通夜や葬儀などの際に、故人の遺族へ渡すお金です。お布施と混同されがちですが、お布施は法要の際に僧侶に渡す謝礼です。香典は墓じまいの趣旨とは異なるので必要ないのです。

まとめ|事前準備で安心して墓じまい当日を迎えよう

今回は、墓じまいに呼ばれたときの服装や持ち物、当日の流れを解説しました。
墓じまいを経験することは何度もないので、何を準備したらいいか戸惑うかもしれません。
今回の記事を参考に、わからないことや不安に思うことはできるかぎり解消して当日を迎えましょう。
当日の流れが頭に入っていると、落ち着いて行動できます。何事も準備が重要です。
最後の持ち物として、故人を供養する気持ちを忘れずに持てるとよいですね

この記事を書いた人

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