墓じまいは馴染みがなく、どのような服装で参加するのか戸惑います。
「喪服で間違い無いのか」「平服ってなんだろう」「基本的なマナーは?」墓じまいと言われると普段着での参加はできません。
本記事では、墓じまいにおける服装のマナーについて解説します。季節やお墓の場所によっては臨機応変に対応することも重要になるので、気持ちよく墓じまいできるように事前にポイントを抑えておきましょう。
墓じまいの服装に関する基本的なマナー
墓じまいの服装は「喪服」「平服」が基本のマナーです。
- 墓じまい当日に閉眼供養や法要を行う場合は喪服
- 遺骨取り出しの場合は平服で問題ない
墓じまいは、今あるお墓を撤去して更地にし、管理人に返還することを指します。この墓じまいに参列するとき「同時に閉眼供養や法要を行う場合」「遺骨の取り出しだけの場合」で服装は変えても良いです。
一般的に喪服が良いと考えますが、実は遺骨の取り出しだけであれば平服での参加もマナー違反ではありません。招待状に「平服でご出席ください」と書かれることもあります。
墓じまいにおける平服は、略式礼装のことをいいます。準じる服装があるので平服で参列する際は、以下を参考にしてください。
- 男性|黒、紺、グレーのダークスーツ
- 女性|黒、紺、グレーのワンピース又はアンサンブル
- 子ども|学校の制服、ダークカラーの服、またはリクルートスーツ
平服を普段着と勘違いすると、参列者の中で浮いてしまいます。直接、口にしなくても「マナーがない」と印象させてしまうので平服にも基準があることを理解しておきましょう。
墓じまいの服装で気をつけるポイント
墓じまいに喪服で参列する場合も、平服で参列する場合も共通の注意点があります。
- 事前に親族と相談しておく
- 上着やコートは革製品を避ける
- 歩きにくい場所は動きやすい靴でも良い
- 時計やアクセサリーは避ける
考えておくべきは、臨機応変に参列しやすいアイテムは使って良いということです。常識の範囲内であれば、参列が困難になるような無理な服装は控えるべきなのです。
事前に親族と相談しておく
墓じまいに参列する際は、関係値の近い親族と事前に服装について話し合います。墓じまいの参列者は各々立場があります。ご先祖さまと繋がりが近い参列者はもちろん、友人として参列する方もいます。
常識的に、お墓に眠るご先祖さまと近い関係にある立場であれば一連の行事は喪服が基本です。一方で、友人として参列する場合は平服が許される行事は平服での参加がマナーになったりもします。
繋がりの近い参列者より正装で参列することが悪いわけではありませんが、服装から立場を判断されるとややこしくなることもあります。そのため、墓じまいに参列する際は、関係値の近い親族と事前に服装を合わせておくようにしましょう。
上着やコートは革製品を避ける
墓じまいの時期によっては、上着やコートが必要です。喪服でも平服でも季節によっては上着を羽織るのは良いですが、革製品は避けます。理由は、革製品は殺生をイメージさせる可能性があるからです。墓じまいには着てはいけない服なので注意しておきましょう。
子どもの制服は暗めの色・制服がベスト
墓じまいに子どもを参列させる場合は、制服がベストです。制服が参列できない場合は暗めの色の洋服が望ましいです。足音も色物、柄物、キャラクター物は避けるようにしましょう。
歩きにくい場所は動きやすい靴でも良い
お墓が山奥にある場合、傾斜が激しい場所などの場合、動きやすい靴で参列しましょう。マナーだからと滑りやすそうな靴で参列すると転倒の恐れがあります。参列者もスムーズな墓じまいに協力します。
足元が心配な場合は歩きやすい靴での参列、スカートやヒールなど参列に不都合が出るアイテムは避けるのが基本です。
時計やアクセサリーは避ける
墓じまいに参列する場合、アクセサリーは華奢で地味なものを選びます。男性の場合、ギラギラした時計はNGです。女性も派手なネックレスやイヤリング、ピアスは避けます。普段使いしているアイテムで不向きなものは辞め、パールのネックレスやイヤリングにとどめるようにしましょう。
季節に合わせたふさわしい墓じまいの服装
墓じまいの季節によっては、必要なアイテムを取り入れて参列します。
- 夏は半袖でも良い
- 冬は温かい服装でも良い
- 雨の日は傘にも気を配る
墓じまいに限ったことではありませんが、冠婚葬祭はマナーの範囲内の服装が決められています。忠実に守ることも大切ですが、無理な格好で参列したことで体調を崩したり、墓じまいに影響が出ては意味がありません。基本のマナーがあることを理解した上で、常識の範囲内の対応をすることも重要です。
夏は半袖でも良い
暑い夏場に無理に正装する必要はありません。墓地にお墓がある場合、墓じまいの一連の流れは屋外で行われます。炎天下の中、喪服で参列するのは酷です。墓じまいが終わる前に退出しないといけないほど影響を受けることもあります。
また、墓じまいの後も場所を移動して参列者と軽い食事をすることもあります。墓じまいが終わって解散ではない場合、暑さを我慢する時間は長引きます。汗が湧き出るほど出ていると周囲にも不快感を与えます。
強い日差しの中で行われる墓じまいは、男性は上着の着用はなしで半袖のワイシャツで大丈夫です。女性はヒラヒラのスカートでなければ通気性の良い半袖のワンピース、もしくはブラウスにスカートで問題ありません。墓じまいに無理なく参列できる格好を意識すると良いです。
冬は温かい服装でも良い
冬の寒い時期は、コートを羽織っても良いです。派手な色ものや毛皮はNGですが、墓じまい中、寒さで凍えないためのコートは着用可能です。
雨の日は傘にも気を配る
墓じまい当日、もし雨が降っていたら(雨予報の場合)傘を持参して参列します。あらかじめ天気が悪いと予想される場合はテントが用意されることもありますが、テントはないものと考えて傘は持参します。
服装同様に、傘もカラフルなものは避け、暗い色の傘を選ぶようにしましょう。ビニール傘でも問題ありませんが、落ち着いた色の傘がベストです。あまりにも大きい傘は周囲に迷惑がかかるので雨のしのげるサイズの傘を用意しましょう。
墓じまいに必要な持ち物
墓じまいに参列する時の持ち物を確認しておきましょう。
- お布施
- 掃除道具
- お花やお供え物
- 線香
墓じまいに必要な持ち物が分からないという方も多いです。墓じまい当日、焦らないためにも必要な持ち物を事前に把握しておくと良いです。
お布施
お布施は基本的に、お墓の管理人が用意します。参列者みんなが用意するものではありません。お布施の相場は3万円〜10万円になります。費用に関しては地域性によっても異なるので事前に親族と相談しておきましょう。お布施を用意する場合は、以下を参考にすると良いです。
封筒の選び方 | 不祝儀袋を選び、黄白か無地のものを選ぶ |
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一般的な金額目安 | 相場は3万円〜10万円ですが、10万円以上を包む場合もある |
表書きの書き方 | 「御布施」と濃墨の筆ペンなどで書き、袋の下部分には自身のフルネームか「〇〇家」と苗字を書く |
中袋の書き方 | 中袋がある場合は中袋の表側、中央に「金〇〇圓也」と書き、金額の部分は「壱、弐、参」の数字を使う |
裏書きの書き方 | 不祝儀袋に中袋が付いていない場合、袋の裏面に自身の情報と金額を書く |
不祝儀袋の用意ができたら、お布施は袋の表面に対してお札の肖像画の面、そして上向きに出るように入れます。お布施を渡すタイミングは読経前、読経後どちらでも問題ありません。読経前に渡す場合は「本日はお越しいただきありがとうございます」の言葉を添え、読経後に渡す場合は「本日はありがとうございました。」と気持ちを伝えて渡しましょう。
お布施は、裸のままの封筒を渡すのではなく袱紗(ふくさ)に包み、お渡しするタイミングで袱紗(ふくさ)を広げて渡します。
掃除道具
墓じまいを行うということは、お世話になったお墓との最後です。そこで、これまでの気持ちを込めて最後に綺麗にするのが一般的です。大掃除は必要ではありませんが、お墓周りを綺麗にするために以下を用意すると良いです。
- ほうき
- バケツ
- 雑巾
- たわし
掃除するとどうしても汚れるので、エプロンの着用や汚れても良い服に着替えると良いでしょう。
お花やお供え物
墓じまいでも、通常のお墓参り同様にお花やお供え物を持参する必要があります。花束は2つ作り、花の本数は奇数で揃えます。色も奇数でまとめると良いです。水は水筒やペットボトルで持参するか、墓地にある水道が使用できる場合は使用しても問題ありません。
お供え物は故人の好きだったものを用意します。飲食物は半紙や小さな和紙の上にのせるようにします。ハンカチでの代用も可能です。品物を包装して熨斗をかけ「御供」と書くと見栄えが良くなります。
線香
墓じまいには線香が必要で、火をつけるためのロウソクやマッチ、ライターも持参します。墓じまいに必要な流れを全て行うためにも、線香は必要になるので忘れず用意しましょう。
線香の選び方に厳密な決まりはありません。故人が好きだった香り、わからない場合は自分の好みの香りで問題ないです。ただし、宗派によって線香の立て方が異なるので注意も必要です。また、屋外にあるお墓なら煙はさほど気にしないく良いと考え、室内にある仏壇に線香を立てる場合は煙の少ないものを選ぶようにしましょう。
墓じまいは故人への敬意を払った服装で参列しよう
墓じまいは、ご先祖さまの眠るお墓とのお別れの儀式です。新たに改装先があるとはいえ、これまでのお墓とはお別れです。大事な儀式であることは理解していても、馴染みがなく参列にはいくつかの不安が残ります。気を張る必要も無理する必要もありませんが、服装は故人への敬意を表します。そこで、最低限のマナーを身につけておくと良いです。
墓じまいに気持ちよく参列するためにも、また故人が新たな改装先で安らかに眠れるように祈り参列すると良いでしょう。