墓じまいの手続きや流れを解説|墓じまい前に知っておきたい5つの注意点

墓じまいは手続きや流れを理解しておくとスムーズに進められます。

「墓じまいの流れを知りたい」「どんな書類が必要なのか」など墓じまいをお考えの方は、本記事を参考にしてください。

意外と知らない墓じまいの知識、墓じまいで思わぬトラブルに発展しないためにも事前の準備が重要です。

墓じまいの選択する人が増える昨今、スムーズに気持ちよく墓じまいするためにも墓じまい前の参考にしましょう。

目次

墓じまいとは|墓じまいが増加する背景

墓じまいとは、今あるお墓を撤去、解体し使用権を返還することです。

厚生労働省の発表によると、墓じまいの件数は年々増加傾向にあります。墓じまいが増加する要因は、お墓の管理にかかる負担です。

お墓の維持にかかる費用は、年間約3,000円〜20,000円です。また、お墓を維持するためには掃除も必要です。場所によってはお墓の掃除のために移動費がかかる場合もあります。

そのため、お墓を維持するためには費用だけでなく労力も必要になり、墓じまいを選択する人が増えています。

墓じまいの手続きと流れ

墓じまいには必要な手続きがあり、事前に流れを把握しておくことが重要です。

  • 親族とよく相談して理解を得ておく
  • お墓のあるお寺や霊園に相談する
  • 新しい納骨先を選択するを決める
  • 墓じまいに必要な行政手続きをする
  • 閉眼供養をして遺骨を取り出す
  • お墓の撤去をする
  • 新しい受け入れ先で遺骨を供養する

必要な手続き、流れについて解説します。

親族とよく相談して理解を得ておく

墓じまいは、ご先祖さまに関わる人の同意が必要です。普段から管理している人がお墓の管理に負担を感じても独断で判断してはいけません。理由は墓じまい後のトラブルが起きかねないからです。

お墓にはご先祖さまが眠っているとされています。お盆の時期に毎年お墓に訪れる遠方の親族は墓じまいに納得できないこともあります。

また、墓じまいには費用がかかります。費用をどれだけ負担するかどうかも墓じまい前に同意を得ないといけません。「勝手に墓じまいしたんだから」と費用を負担してもらえなくなることもあるので、墓じまい前には親族間で十分話し合いが必要です。

お墓のあるお寺や霊園に相談する

墓地の管理者へも墓じまいの意向を伝えます。墓地によって管理者は異なるので以下を参考にしてください。

  • 寺院墓地:住職
  • 公営・民間霊園:霊園管理事務所
  • 共同墓地:管理組合や地域の代表、役所

管理者が分からない場合は、自治体に問い合わせてください。管理者が特定できたら墓じまいに必要な「埋蔵証明書」を発行します。また、お墓の撤去に必要な離檀料も必要です。

墓じまいの際、管理者の特定と「埋蔵証明書」の発行、離檀料の用意が必要になることを理解しておきましょう。

新しい納骨先を選択するを決める

墓じまい後の次の納骨先も前もって決定しておきます。お墓の維持が困難で墓じまいをするほとんどの方は、永代供養を選択するのが一般的です。

永代供養なら一定額を支払うことで、寺院で供養をしてもらえます。親族がなかなか手を合わせにいけなくても、毎日お坊さんが手を合わせてくれるので管理に負担を抑えられます。

ただし、供養してもらう寺院はどこでも良いわけではありません。費用面でも負担のない場所、そしてできる限り負担なく通える距離の寺院が良いです。近年、永代供養を望む方も多いので、寺院選びは事前に数ヵ所絞っておくと良いでしょう。

永代供養以外の供養方法をお考えの方は、以下を参考にしてください。

お墓の引越し墓石を立て直したり、元々の墓石を移設する供養方法
海洋散骨粉末状にした遺骨を海に撒き、祈りを捧げる方法
手元供養自宅や身近なところに遺骨を保管する供養方法

墓じまいに必要な行政手続きをする

墓じまいには、以下の行政手続きが必要です。

  • 埋葬証明書
  • 受入証明書
  • 改葬許可申請書

墓じまいの際には必ず必要な手続きとなり、自治体によって申請の仕方が異なるケースがあります。必要手続きについては後述しますが、どのような書類が必要になるのか事前に把握してきましょう。

閉眼供養をして遺骨を取り出す

墓じまいでは「閉眼供養(へいがんくよう)」と呼ばれる儀式を行います。お墓に眠る故人やご先祖の魂を通常の状態に戻す意味があり、「お性根抜き(おしょうねぬき)」「魂抜き(たましいぬき)」と呼ぶ地域もあります。

閉眼供養(へいがんくよう)は、お世話になっている菩提寺に依頼できます。近くのお寺に手配することも可能なので依頼先を決定しておきましょう。

お墓の撤去をする

閉眼供養(へいがんくよう)で遺骨を取り出したら、墓石の解体・撤去の工事を行います。墓じまいは最終的に更地の状態にする必要があるので、原状回復を行って管理者への返還が必要です。

墓石の解体・撤去の工事は費用がかかります。依頼する業者によって費用は変動します。また、すぐに対応できない場合もあるので、業者選びは早めに始めると良いです。数ヵ所に依頼して納得のできる業者を選びましょう。

新しい受け入れ先で遺骨を供養する

墓じまいが終わると、新しい改葬先に遺骨を納めます。遺骨の移動は親族で行います。自家用車を利用しても良いですし、タクシーの利用も可能です。公共の交通機関も利用できますが、電車やバスなど他の乗客がいる場合は配慮も必要です。

飛行機に持ち込む場合は、各航空会社で定められたルールを守ります。骨壷が壊れないように新しい受け入れ先に移動させたら、遺骨を供養します。

行政手続きで必要な書類と流れ

墓じまいに必要な書類の取得方法、流れについて解説します。

埋葬証明書

埋葬証明書は、お墓には誰が眠っているのかを証明する書類です。お墓の管理者に発行してもらいます。埋葬証明書なしに墓じまいはできません。墓じまいのために遺骨を取り出す許可証にもなるので、必ず埋葬証明書を発行してもらう必要があります。

受入証明書

自治体によって、新しい改葬先での遺骨の受け入れを証明する受入証明書が必要になることがあります。受入証明書は、新しいお墓の管理者から発行してもらいます。遺骨の受け入れを許可したことを証明する書類ですが、「墓地使用許可証」などの写しがあれば不要になるケースもあります。

遺骨の受け入れにどの書類が必要なのか事前に確認しておくと良いでしょう。

改葬許可申請書

改葬許可申請書は、今のお墓がある市区町村から発行してもらいます。改葬許可申請書はお墓の移動を許可する申請書類です。自治体によっては署名・捺印で済む場合とケースと埋蔵証明書が必要な場合があります。

改葬許可申請書の発行に必要な書類は、事前に確認しておくと手続きがスムーズです。

書類発行後の流れ

墓じまいに必要な書類は、以下の通りです。

必要書類発行元用途
埋葬証明書お墓の管理者遺骨を取り出すための許可証
受入証明書新しいお墓の管理者遺骨の受け入れを許可する証明
改葬許可申請書市区町村お墓の移動を許可する証明

墓じまいには全ての書類が必要で、書類を揃えたら役場の窓口に提出します。書類不備の場合、受理されないこともあります。時間を要することも考え、余裕をもっておきましょう。

墓じまいの5つの注意点

墓じまいをスムーズに行うためには、以下の5つに注意しましょう。

  • 最終的に後悔しないか考える
  • 親族間で話し合いを必ず行う
  • 名義人の確認をする
  • 墓じまいの時期を考える
  • お墓の撤去費用を確認する

墓じまいしてから後悔しても元に戻すことはできません。墓じまいはご先祖さまの居場所を見守る側が納得した形に変えることを目的にします。そのため、後悔しないためにもトラブルに発展しないためにもスムーズに心地よく進めることが重要になります。

最終的に後悔しないか考える

墓じまいは後悔しない選択が重要です。現状を維持する費用が墓じまいの要因であったとしても、形を変えることでさらに費用がかかってしまっては意味がありません。なかなか出向けないことで墓じまいを考えた場合、さらに親族が通いにくい場所に移動しても意味がありません。

墓じまい前よりも墓じまい後の方が不便に感じると後悔することになります。墓じまいは「本当にこれで良いのか」というところを慎重に考えて行いましょう。

親族間で話し合いを必ず行う

墓じまいによって親族間の関係が壊れないように、納得できるまで根気よく話し合いをしましょう。話がまとまらず煩わしく感じることもあります。そこで妥協してしまうこともあるでしょう。

しかし、誰か一人でも妥協した状態での墓じまいはその後のトラブルの原因になります。ご先祖さまの居場所にどのような思いを持つかは、人それぞれ異なります。費用に関してもどのくらいの費用を相場と考えるか異なります。

墓じまいの話し合いは「供養方法」「供養場所」「費用」に関して納得いくまでの話し合いが必要になることを理解しておきましょう。

名義人の確認をする

墓じまいを始める前に、今使用しているお墓の名義人を確認します。理由は、墓じまいを行う上ですべての権限は名義人にあるからです。もちろん、名義人だからといって全ての手続きを独断で決めて良いわけではありません。しかし、半数で意見が分かれた時など最終決断を下せる立場がいると話もまとまりやすくなります。

もし、名義人が亡くなっている場合は、名義変更(相続)が必要になります。墓じまいを行うにあたってお墓の名義人は必要になるので、名義人が分からない場合は自治体の役所に問合せましょう。

墓じまいの時期を考える

墓じまいは時期も重要です。墓じまいにお墓の管理人に発行してもらう書類や、新たな供養先からの書類が必要です。そのため、お盆は繁忙期となり手続きに時間がかかります。また、お墓の解体を依頼する業者も雨や雪の多い季節は早期に工事を進めることができません。

墓じまいは2〜3ヶ月程度かかります。さらに時間がかかると仕事の都合が合わせられなくなりスムーズに墓じまいを進められなくなります。そのため、墓じまいは関わる方とのスケジュールを把握し、時間に余裕をもって行うことが重要です。

墓じまいにかかる費用を確認する

墓じまいは、以下の費用が必要です。

お墓の撤去費用1平方メートルあたり10万円程度
埋葬証明書・受入証明書・改葬許可申請書数百円から1,000円程度
閉眼供養のお布施代3万~5万円程度
離檀料3万~20万円程度
遺骨の受け入れ先への納骨費用数万円~100万円前後

墓じまいの相場は、30万〜300万と幅があります。大きく幅があるのは、お墓の建っている位置や大きさによって解体費用が異なる点や、自治体によって必要書類の発行費用が異なるためです。また、お布施代や離檀料、納骨費用は相場はあるものの包む金額は家庭によって異なります。

気持ちも込めて包むお金は予算で無理ない程度に抑えることはできますが、解体費用は業者によって異なるので注意が必要です。工事が終わった後に別で請求をあげる業者もゼロではないので、事前にどのくらい許容できるのか明確にしておきましょう。

墓じまいは流れと必要な手続きを踏まえて行おう

墓じまいは、短期間に何度も行うものではありません。そこで、手続きに戸惑うのは当然です。墓じまいは以下の流れで行います。

  • 親族とよく相談して理解を得ておく
  • お墓のあるお寺や霊園に相談する
  • 新しい納骨先を選択するを決める
  • 墓じまいに必要な行政手続きをする
  • 閉眼供養をして遺骨を取り出す
  • お墓の撤去をする
  • 新しい受け入れ先で遺骨を供養する

また、「埋葬証明書」「受入証明書」「改葬許可申請書」などの書類が必要です。親族間でのトラブルをなくすためにも話し合いが必要になり、墓じまいには時間を要します。そこで、墓じまい前に確認しておくべきポイントはいくつかあるので本記事を参考に、スムーズで気持ちの良い墓じまいを行いましょう。

この記事を書いた人

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