墓じまいにお供えは必要?墓じまいのお供え物や供え方についても詳しく解説

近年、少子化や核家族化が進んでいます。先祖代々の墓も後継者が無く墓を維持していくのが困難になり、親族や家族の将来を考えて「墓じまい」を選択する方が増えています。

「墓じまい」とは、遺骨を別の場所に移したり永代供養などした上で墓石を除去して更地にした墓地を管理者に返還することです。

墓じまいの際にはどのようなお供え物が必要なのでしょうか?また、改葬後の供養では何を用意すればよいのでしょうか?

墓じまいのときにはお供えとして「五供」(ごくう)とお布施の用意が必要です。

この記事では、

  • 墓じまい時や改葬後に必要なお供え物
  • それぞれの意味と供え方
  • お布施について

詳しくご紹介します。

目次

墓じまいに必要なお供えとは?

墓じまいに必要なお供え物は「五供(ごくう)」です。

  • 灯燭
  • 飲食(おんじき)

澄んだ水は人の心を浄化するという意味があります。供える際に大切なのは新鮮な飲み物を用意することです。

水鉢(お墓の少しくぼんだ部分)にきれいな水を入れて供えます

花には故人を偲ぶ気持ちや冥福を祈る気持ちが込められていることから代表的なお供え物です。花を供えることは生きている私たちにとっても安らぎとなります。

白・黄・紫・ピンク・赤の5色を3・5・7などの奇数の本数で用意すると良いとされています。

2つ用意した花束を、左右に対にして花立に挿し、墓ではなく自分たちに向けて供えます

花の選び方

菊やカーネーションなどの長持ちする花を選びます。また季節に応じた花や故人が好きだった花でも構いません。

生花にアレルギーがある、手入れが難しいなどの事情がある場合は造花でもかまいません。ただ仏教ではお供え物として生花が好まれるため、造花をお供えする場合はお寺や親族に確認した方が良いでしょう。

灯燭

灯燭とはろうそくのことです。人の迷いを照らす仏様のお導きや慈悲を象徴するものと言われます。

花立の内側にある灯立(ろうそくを立てる道具)にろうそくを立て、マッチ又はライターで火をつけます。

また線香に火をつけた後ろうそくの火を消すときに、不浄と言われる人の息を吹きかけて消すのはタブーです。手で軽く振るかどちらかの手で仰ぐ、またはローソク消しで消すようにします。

お線香やお香のことをいいます。仏様のご飯としての役割とともに、お参りする方の心身を清めてくれるもので、仏壇に手を合わせるときに焚くと供養になるとされています。

お仏壇にお供えするときはお仏壇の中央に香炉を設置します。一般的に1~3本供えますが宗派により違いがあるようですのでわからない場合は確認しましょう。

飲食

現世の私たちが故人に食事への感謝を表しお供えするものです。みかんやリンゴ、バナナなど新鮮で長持ちする果物を用意するのが一般的ですが、故人が好きだった食べ物でもかまいません。

飲食は墓石手前にある供物台に供えます

お供えするときの注意点は?

避けるべきお供え物

お供え物にも避けなければならないものがあります。

  • 飲食では「五辛(ごしん)」「生もの」「臭いもの」「腐りやすいもの
  • 花ではトゲ・毒・ツルのある花や散るのが早い花

詳しく解説していきます。

飲食

  • ニンニクやにらなど香りのきつい食品(「五辛(ごしん)」)
  • 肉・魚などの生もの(殺生を連想させるため)
  • ドリアン・マンゴなど臭い果物(死臭を連想させるため)
  • 腐りやすい果物

花では

  • トゲのある花・・・殺生を連想させるため(バラ・あざみなど)
  • 毒のある花・・・仏さまに毒を供えることになるため(彼岸花・シャクナゲなど)
  • ツルのある花・・・亡くなった人の魂がまだ存命の人に絡みつく姿を連想させるから(スイカズラ・朝顔など)
  • 散るのが早い花・・・短い命を連想させる(ツバキ・山茶花など)

最近、考え方の多様化で、お供えする花を自由に選ぶ人も増えています

バラはトゲがあり避けるものとされていましたが、故人が好んでいたからとトゲを取り除いて飾ることもあるようです。

大事なのは故人を供養する気持ちだということです。

懐紙を敷く

果物などを「供物台」にお供えする場合には、直に置くのでなく懐紙を敷きその上に果物を置くようにします。

懐紙は100均ショップでも購入できます。

お供え物の向き

篭盛りの果物の場合には正面が私たちの方を向くように置きます。またお菓子などを供える場合も同様に正面が私たちの方を向くようにします。

花も同様です。拝む人側が正面になるようにします。

お供え物は持ち帰る

お供えしたものは基本的にすべて持ち帰ります

放置すると火事になる恐れのあるろうそくや線香はすべて火を消し持ち帰ります。お供えした果物やお菓子も鳥が食べ散らかしますし、花もそのままにしますと水が腐りますのですべて持ち帰ります。

お供え物を供えるタイミングは?

墓じまい当日の流れは下記のとおりです。墓石の撤去はありませんが、改葬後の開眼供養時も同じタイミングでお供え物を供えます。

  1. お墓の掃除
  2. 僧侶への挨拶
  3. お供え物を供える
  4. 読経
  5. 墓石の撤去

お墓の掃除

墓参り当日は、最後のお墓参りの日となります。掃除閉眼供養が始まる前に行っておきます。墓石は上部に水を掛けながら柔らかい布などで汚れを取り除き、花立や水鉢などの小物などもきれいに掃除をしましょう。

また墓の周囲に雑草が生えていればそれも取り除きます。

僧侶への挨拶

掃除がすんだら、当日お世話になる僧侶に挨拶に行きます。「本日はよろしくお願いいたします」と簡単に挨拶し、お布施をお渡しします。

お布施は袱紗に包んでおいたものを袱紗に乗せてお渡しするようにしてください。

お供え物を供える

閉眼供養開始時、持参したお供え物の準備をします。

水をひしゃくで水桶から水鉢に注ぎ、花立に持参した花を挿し、お供え物を供えます。

読経

親族が揃ったら僧侶が読経し閉眼供養・開眼供養を行います。故人と関係が近い方からお焼香を行います。

墓石の撤去

閉眼供養後、石材店による墓石の撤去は早ければ当日行います。手配が付かなければ後日になりますが、必ず撤去前後の写真撮影を依頼しておき現状復帰の様子を確認しましょう。

お布施について

墓じまいの閉眼供養、また改葬後の開眼供養でもお供え物とともに必要となるのが僧侶にお渡しするお布施です。

お布施の相場

お布施の目安となる金額は下記のとおりです。

お布施開眼供養・閉眼供養 各(目安)3~5万円
お車代(目安)3,000円~1万円
お膳料(目安)5,000円~1万円 ※開眼・閉眼供養後の会食に僧侶が出席しない場合
離壇料(目安)3万円~20万円

地域やお寺により金額は異なりますのでわからない場合は親族に相談するのが良いでしょう。

お布施の袋

不祝儀袋を用意します。コンビニエンスストアや100均ショップで販売されているようなものでもかまいません。

表書きは「御布施」(宗派により異なる場合があります)とし、下に自分の名前(苗字又はフルネーム)を薄墨で記入します。

お布施の袋の中袋には包んだ金額を旧字体で記入しておきます。

お札の用意

お布施にするお札は新札・旧札でもどちらでもかまいません。香典などのご不幸時には用意をしていたと思われるのを避けるため、旧札を用いるのが慣例ですが、墓じまいの場合は事前にわかっているためどちらでもかまいません。

表面から見て、お札の肖像が上側(表側)になるようにお札を入れましょう

開眼供養のお布施について

墓じまいをした後、遺骨の新しい納骨先により、開眼供養のお布施が必要となります。

必要なケース

両親や、親族のお墓を墓じまいして、自宅近くのお墓に納骨するような場合は、僧侶を呼んで開眼供養を行う人も多いためお布施が必要になります。

公営墓地や民営墓地は開眼供養を行わないところも多いようですが、開眼供養を行わないと受け入れてもらえないところもあるようですので事前に確認が必要です。

不要なケース

合葬の(他の遺骨と合同で納骨される永代供養タイプのお墓)場合は、お布施は不要のケースが多いようです。また散骨の場合もお布施は不要ですが、散骨する際に僧侶を呼び読経を行う場合は、お布施は必要になります。

まとめ

墓じまいは、故人との大切な別れの儀式です。

このような大切な節目に際し、心を込めたお供え物を用意することは、故人への最後の御供養として、重要な意味を持ちます。

本記事で紹介した五供(ごくう)の詳細は、宗派や地域によって異なる場合もありますので、不安な点がありましたら、必ず菩提寺や親族の方に確認することをお勧めします。

この記事を書いた人

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