墓じまい後は樹木葬へ！初心者向けの手順とポイント解説

「最近よく聞く樹木葬って何だろう？？」「普通の納骨と何が違うの？？」「どんな流れで手続きを進めるの？？」といったお悩みはありませんか？樹木葬とは、墓石に代わって樹木を墓標とする供養のことをいいますが、それを行うためには、段取りや必要な知識が多くあります。

このような供養は、一般的ではないため、事前の情報収集が重要です。本記事では、墓じまいと樹木葬に関する基本的な知識から、選ぶ際の注意点、具体的な手順まで、初めて樹木葬を行う方にももわかりやすく解説します。

スムーズに墓じまいと樹木葬を進めることができるようになるためにも、ぜひ最後までおよみくださいね。

墓じまいと樹木葬の基礎知識

樹木葬を行う前に、お寺などにお墓に遺骨が供養されている場合、まずは「墓じまい」を行う必要があります。墓じまいとは、墓石を撤去し、墓地を更地にして、使用権を明け渡すことです。あまりなじみのない言葉ですので、まずは、墓じまいについて説明しますね。

墓じまいとは

墓じまいとは、さまざまな理由から、管理が難しくなったお墓を処分し、遺骨を別の供養方法へ移す手続きのことです。日本では少子化や核家族化に伴い、後継者のいない家庭が増えたり、管理者の高齢化などの理由から、お墓を維持し続けるのが難しくなるケースが増えています。

このような背景から「墓じまい」を選ぶ方が増えており、墓じまいの後、遺骨をどのようにするかが新たな検討課題となります。その課題を解決する一つの方法として、樹木葬というものがあります。

樹木葬とは

樹木葬は、墓石に代わり、樹木を象徴として自然の中で供養する埋葬方法です。通常の墓石ではなく、樹木や花壇を墓標とし、その周辺に遺骨を埋葬する形が一般的です。

樹木葬は永代供養（えいだいくよう）の一種であり、後継者がいなくても管理や供養を続けてもらえるため、お一人様やご夫婦で利用するという選択をする方が多いようです。

墓じまいの流れと改葬について

改葬許可と手続きの流れ

墓じまいをして他の場所に遺骨を移す場合、まず必要なのが「改葬許可証」です。遺骨を他の場所に勝って移すことはできません。この許可証がないと遺骨の移動ができないため、墓じまいをする際には必ず申請が必要です。

申請自体は、難しくなく、市町村役場にいって申請を行うことで許可書を取得できます。また、改葬許可申請には現在のお墓の管理者から「埋葬証明書」をもらい、役所に提出します。

改葬許可証が発行されたら、遺骨を取り出し、移転先の樹木葬地や他の供養先に納骨します。この流れは法律で定められており、しっかりと手続きしなければなりません。

改葬までの流れ

墓じまいの際、まず家族や親族と話し合いを行い、意見の方向性を合わせる必要があります。ここで、話がこじれてしまうと、トラブルにつながりかねません。まずは、家族間での話し合いをしっかりと行いましょう。

その後、墓じまいをするという選択をしたら、お墓の管理者に相談し、墓じまいを申し出ます。そして、遺骨の移動先となる新しい供養先を決めます。決定後、墓石撤去工事を依頼し、寺院や霊園に依頼して閉眼供養（魂抜きの儀式）を行います。

最終的に、改葬先の供養地へ遺骨を納骨することで墓じまいの一連が完了します。

墓じまい後に樹木葬を選ぶ理由とメリット

墓じまいの後に遺骨を埋葬する方法として、樹木葬があります。樹木葬は、墓石を用いない供養の方法で、樹木などを墓石の代わりにします。ここでは、樹木葬を行うことで、どんないいことがあるのか、そのメリットについてお伝えします。

樹木葬を選ぶメリット

管理負担が少ない

樹木葬は、後継者がいない方にとって管理がしやすい供養方法です。一般的なお墓は、定期的にお参りや掃除が必要ですが、樹木葬の場合、多くの霊園や寺院が永代供養として管理を代行してくれます。そのため、後を継ぐ、親族に負担をかけずに済む点が大きなメリットです。

承継者がいなくても利用できる

従来のお墓と異なり、樹木葬は後継者がいない方でも利用できます。樹木葬を取り扱う霊園や寺院は、永代供養を含めた契約を行っている場合が多いです。そのため、お一人様やご夫婦など、将来お墓の管理を気にする方でも、その必要のない供養となります。

費用の軽減

一般的なお墓を建てる際には墓石代などの初期費用がかかり、それを負担になる家庭もあります。ですが、樹木葬ではその費用がかかりません。

また、維持管理費用も抑えられるため、経済的な負担が軽減されます。例えば、従来の墓地は、一般的に100万円~350万円の費用がかかります。それに比べて樹木葬の場合の平均費用は、20万円～80万円と少額で済むことが多く、資金的に安心して利用できるのも魅力です。

散骨とは異なり、法律や条例に違反しない

散骨の場合、遺骨を粉砕化しなければならないなど一定のルールがありますが、樹木葬の場合、霊園や寺院の敷地内で行われるため、法律や条例に違反することはありません。遺骨は適切な場所に安置され、管理も行われるので、散骨に対する法的な不安を抱えている方にとっては、安心して供養が行われます。

宗旨宗派を問わず利用可能

樹木葬は、特定の宗旨宗派を問わない供養法です。仮に、ご家族の中に異なる宗教観を持つ方がいる場合でも、他の家族と同じように供養を行えるという点で大きなメリットです。

樹木葬の種類と特徴

ここまで、墓じまいと樹木葬の基本的な考え方について説明しました。しかし、樹木葬ひとつとっても、種類はさまざまあります。ここでは、もう少し詳しく解説していきます。

分類	樹木葬タイプ
埋葬方法	・合祀型 ・個別型 ・共同埋葬型
環境	・里山型 ・都市型

樹木葬のタイプ

里山型

里山型の樹木葬は、人里離れた山林に遺骨を埋葬する方法です。これは、自然環境を重視しており、山林の中に遺骨を還すことで、故人を自然に帰すことを意味します。

専用の区画やシンボルツリーの根元に遺骨を埋めるため、土地の風景や四季の移ろいを感じられるのが魅力のひとつです。しかし、場所にもよりますが、里山型は、お墓参りがしにくいというデメリットもあります。そのため、訪問回数を気にしない方や自然環境の中での供養を望む方には、おすすめです。

都市型（花壇・公園タイプ）

都市型の樹木葬は、霊園や寺院の一角に造られた花壇や公園のような場所に遺骨を埋葬する方法です。樹木や花に囲まれた区画で整備されているため、墓地の雰囲気が明るく、訪れる人がリラックスできる環境が整っています。

このような形の霊園は、交通機関を利用しやすい都市部に設置されていることが多いです。そのため、お墓参りに頻繁に行きたい方におすすめです。運転免許証をお持ちでない方や、ご高齢の方でも参拝しやすい点も特徴です。

埋葬の形態

合祀型

合祀型は、他の方の遺骨と一緒に埋葬する形式です。複数の遺骨を一つの場所に集めて、お祀りされるため、費用が比較的安価に抑えられるます。故人が独り身だった場合や、ご家族に後継者がいない場合に選ばれることが多いです。ただし、一度合祀した遺骨を取り戻すことができないため、事前に家族とよく話し合っておく必要があります。

個別型

個別型の樹木葬は、遺骨を他の人の遺骨とは別に埋葬する形式です。個別のスペースが設けられ、家族や故人の希望に合わせた供養を行うことができます。注意点としては、一定の期間を終えると、合祀される場合もあります。そのため事前に、契約内容を確認することが重要です。合祀を望まない場合には、永代にわたり個別で安置される「個別安置型」を選択するとよいでしょう。

共同埋葬型

共同埋葬型は、複数の方の遺骨が同じ区画に納骨され、個別の区画はないものの、合祀型よりも個別性を残した形式です。この方法は、家族など複数の人の遺骨をまとめて安置できるため、家族みんなで同じ場所での供養を望む場合に適しています。個人墓ほどではないものの、ある程度の費用は、負担で、家族一同が眠れる場を提供します。

墓じまいから樹木葬へ改葬する手順

墓じまいから樹木葬へ改葬していくには、どのような手順で進めていったらいいのでしょうか。ここでは、その一連の流れを説明していきます。

家族・親族と話し合う

墓じまいを決めたら、まず家族や親族と十分に話し合いましょう。先祖代々の続いていくお墓は、家族の絆を象徴するもののひとつです。急に墓じまいを進めてしまうと、いくら家族であっても誤解や墓じまいへ反対する気持ちが生じる場合があります。どんな形で進めるかを決める前に、家族間で十分に話し合いをし、皆が納得できる形を探っていきましょう。

墓地管理者に墓じまいを相談

墓じまいをするには、現在の墓地管理者へ事前に相談しましょう。特に寺院墓地の場合、閉眼供養などの儀式を執り行うこともあるため、まずは住職や管理者へ墓じまいをする旨を伝えます。その後、具体的な供養の日程や離檀に関する費用や手続きの説明を受けるようにしましょう。

改葬先の樹木葬を決め、申し込み

次に、改葬先としての樹木葬を選びます。樹木葬は霊園や寺院によって内容や費用が異なるため、実際に現地を見学するのがおすすめです。見学後、契約内容や費用の確認を行い、申し込みをします。

工事業者の選定と契約

墓石の撤去工事は、石材店や工事業者に依頼しなければなりません。一般的に墓地によっては指定業者が決まっていることもあるため、管理者から紹介を受けることが多いです。一つの業者の見積もりで決めるのではなく、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。見積もりを比較することで、費用の節約につながります。

役所で改葬許可証を申請

墓じまいには、役所から「改葬許可証」を発行してもらう手続きが必要です。現在の墓地から埋葬証明書をもらい、それを持参して役所に申請することで改葬許可証を取得します。この改葬許可証がないと、改葬先の霊園や樹木葬施設で遺骨の受け入れをしてもらえないので、忘れずに手続きをしましょう。

閉眼供養と遺骨の取り出し

閉眼供養は、お墓に宿った故人の魂をお祓いする儀式です。僧侶に依頼して墓前で供養を行い、故人に感謝の気持ちを込めて祈りを捧げます。供養が終わった後、遺骨を取り出すことができ、その後、遺骨を次の供養先へと移す準備を整えます。

墓石の撤去と墓地返還手続き

供養が終わり遺骨を移した後、墓石の撤去作業を行います。石材店や業者に墓石の解体と撤去を依頼し、墓地を更地に戻して返します。墓地使用権を返還する際には、契約解除の手続きも行い、必要な書類や金額を確認します。

改葬先の樹木葬へ納骨

改葬許可証を持参し、改葬先の樹木葬施設で納骨を行います。納骨の際には、僧侶による読経やお祓いなどの、改めて法要を希望する方も多いです。納骨式が終われば、故人は新しい供養の場で永眠することができます。

【まとめ】墓じまい後の新たな供養方法としての樹木葬を

今回は、樹木葬について解説しました。墓じまいを検討されている方にとって、樹木葬への改葬は継承者がいない場合でも利用できるなどの多くの利点があります。また、散骨とは異なり法律的な安全性も確保されていたり、宗教による制限もないため、多くの方が選びやすい供養方法となっています。

ただし、場所によっては、費用や景観の変化、アクセスの利便性など考慮すべき点もありますので、事前に家族や専門業者と十分に相談することが大切です。この記事を参考にして、樹木葬がご自身やご家族にとって最適な供養方法になるかどうか、ぜひ検討を進めてください。