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執筆・監修:終活カウンセラー1級

お墓はどうする?墓じまい・永代供養・樹木葬の選択肢と進め方

「息子は遠方に住んでいて、お墓を継がせるのは申し訳ない」「実家のお墓、これからどうすれば……」——お墓に関する相談は、年々増えています。核家族化と少子化で、「家のお墓を子孫が守り続ける」前提そのものが揺らいでいるからです。この記事では、お墓の終活の選択肢と進め方、トラブルを避けるための注意点、そして家族が集まりやすい秋のお彼岸に話し合っておきたいポイントを、終活カウンセラー1級が整理します。

結論:お墓の終活は「①いまあるお墓をどうするか」「②自分たちはどこに入るか」を分けて考えます。墓じまいは親族の同意→供養先決定→改葬許可→寺院・石材店の順で、離檀料などお金のトラブルは事前に知っておくことが大切です。家族が集まりやすい秋のお彼岸(2026年は9月19日〜23日が連休)は、話し合いを始める好機です。
この記事でできるようになること
  • いまあるお墓を「承継」「墓じまい」どちらで考えればいいか判断できる
  • 永代供養・樹木葬など、これからの供養先の選択肢と向き不向きがわかる
  • 離檀料などのトラブルを避け、困ったときの相談先がわかる
  • 秋のお彼岸に、家族とお墓の話を切り出せる(会話例・確認シートつき)

お墓の終活で考える2つのこと

お墓の終活は、次の2つを分けて考えると整理しやすくなります。

①と②は独立した問題ですが、「墓じまいをして、遺骨を永代供養墓に移し、自分もそこに入る」のように、セットで検討されることも多くあります。

いまあるお墓:承継するか、墓じまいするか

承継する場合

お墓を継ぐ人(承継者)を決め、管理料の支払いなどを引き継ぎます。大切なのは、承継者になる人の了解を生前に得ておくこと。「当然長男が」と思い込んだまま亡くなり、残された家族が困るケースが少なくありません。

墓じまいする場合

墓じまいとは、お墓を撤去して更地に戻し、遺骨を別の供養先に移すことです。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 家族・親族と話し合う——最重要ステップ。親族の同意なく進めるとトラブルの元です
  2. 新しい供養先を決める——永代供養墓・納骨堂・樹木葬など(次章参照)
  3. 行政手続き(改葬許可)——墓地、埋葬等に関する法律第5条により、改葬(遺骨を他の墓地・納骨堂に移すこと)には市町村長(特別区は区長)の許可が必要です。申請先は、いま遺骨がある市区町村の窓口。必要書類(改葬許可申請書・埋葬証明・受入証明など)は自治体によって異なるため、事前に確認してください
  4. 墓地の管理者・お寺に相談する——菩提寺がある場合は、閉眼供養(魂抜き)や離檀について丁寧に相談を
  5. 石材店に撤去を依頼する——費用はお墓の大きさ・立地で変わるため、見積りで確認を
ご注意:改葬の手続き・費用・慣習は、自治体・墓地・寺院によって異なります。この記事は一般的な流れの紹介であり、正確な手続きは各自治体・墓地管理者にご確認ください。離檀料など費用面のトラブルについては費用とトラブルを避けるために知っておきたいこともあわせてご覧ください。

これからの供養先:主な選択肢

選択肢内容向いているケース
従来型のお墓墓石を建て、家族で承継していく承継者がいて、地元にお参りする家族がいる
永代供養墓霊園・寺院が家族に代わって供養・管理する承継者がいない、家族に負担をかけたくない
納骨堂屋内の施設に遺骨を安置する都市部でお参りしやすい場所がいい
樹木葬樹木や草花を墓標とする形式自然に還るイメージを大切にしたい
海洋散骨粉骨した遺骨を海にまくお墓を持たない選択。実施はルールを守る専門業者への依頼が一般的
手元供養遺骨の一部を自宅で保管・身につける他の方法と組み合わせて使われることが多い

永代供養墓や樹木葬には、他の方と一緒に埋葬される「合祀(ごうし)型」と、一定期間個別に安置される「個別型」があります。合祀後は遺骨を取り出せないのが一般的なので、契約前に必ず確認してください。

秋のお彼岸は、家族で話す好機(会話例・確認シート)

お彼岸は、もともと先祖供養のためにお墓参りをする習わしがあり、家族が自然に集まる数少ない機会です。2026年の秋分の日は9月23日(水)で、敬老の日(9月21日・月)にはさまれた22日(火)が「国民の休日」で休みになるため、9月19日(土)〜23日(水)が5連休になります(国立天文台「令和8年(2026)暦要項」より)。帰省してお墓参りをしたついでに、お墓の今後を話す絶好のタイミングです。

状況別に考える

話を切り出す会話例

ポイントは、いきなり「墓じまいしよう」と結論から入らないこと。「今どう考えているか」を聞くだけで十分な一歩です。詳しい切り出し方は親への切り出し方のコツもあわせてご覧ください。

お彼岸に確認しておきたいことシート

コツ:全部を一度に決めようとしなくて大丈夫です。お彼岸ごとに1〜2項目ずつ確認していく方が、家族の負担も少なく続きます。

費用とトラブルを避けるために知っておきたいこと

国民生活センターには、墓・葬儀サービスに関する相談が2021年度の969件から2023年度は1,148件に増えており、その3〜4割が離檀料や改葬に関する相談とみられています(国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」参照)。よくあるトラブルと対策を知っておきましょう。

参考:国民生活センター「墓・葬儀サービス(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月27日確認)/墓地、埋葬等に関する法律第5条(厚生労働省法令等データベース、2026年7月27日確認)

家族と話し合っておきたい3つのポイント

  1. 「お参りする側」の気持ちを聞く——お墓は本人のためだけでなく、残された人が手を合わせる場所でもあります。「お参りできる場所が欲しい」という家族の気持ちと、「負担をかけたくない」という本人の気持ちをすり合わせましょう。
  2. 費用と管理の負担を具体的に共有する——年間管理料や交通の負担など、数字と事実で話すと感情的になりにくくなります。
  3. 決めたことをエンディングノートに書く——菩提寺の連絡先、霊園の契約書の保管場所、希望する供養の形を書き残しておくと、家族が迷いません(書き方完全ガイド参照)。

葬儀とお墓はつながった問題です。葬儀の生前準備については葬儀の生前準備の記事をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 改葬(お墓の引っ越し)には、どこの許可が必要ですか?

墓地、埋葬等に関する法律第5条にもとづき、改葬には市町村長(特別区は区長)の許可が必要です。改葬の許可は、遺骨が現在ある場所(今のお墓がある市区町村)の窓口に申請します。必要書類は自治体によって異なるため、事前に窓口へ確認してください。

Q2. 離檀料は必ず払わないといけませんか?

離檀料(檀家をやめる際のお布施)には法律上の明確な基準や支払い義務はありません。国民生活センターにも、高額な離檀料を求められたという相談が寄せられています。金額に納得がいかない場合は、その場で支払わず、まずは寺院と話し合い、解決しない場合は消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士・司法書士に相談してください。

Q3. お墓や供養先の費用はどれくらいかかりますか?

墓石の撤去費用、永代供養墓や樹木葬の使用料は、規模・立地・霊園や寺院によって大きく異なり、一律の相場を示すことはできません。必ず複数の霊園・石材店から書面で見積もりを取り、基本料金に含まれる範囲と追加費用が発生する条件を比較してから決めてください。

Q4. 秋のお彼岸にお墓の話をするのはおかしいですか?

おかしくありません。お彼岸はもともと先祖供養のためにお墓参りをする習わしがあり、家族が集まる自然な機会です。2026年は秋分の日(9月23日)の前後が5連休になるため、帰省してお墓の状況を一緒に確認しやすいタイミングです。「せっかく集まったから」を切り口にすると、話を切り出しやすくなります。

まとめ

  • お墓の終活は「いまあるお墓」と「自分の供養先」を分けて考える
  • 墓じまいは親族の同意→供養先→改葬許可(墓地埋葬法第5条)→寺院・石材店の順で。自治体への確認が必須
  • 永代供養・納骨堂・樹木葬など選択肢は多様。合祀後は取り出せない点に注意
  • 離檀料に明確な基準はなく、費用は必ず複数社の見積もりで比較。困ったら消費生活センターへ
  • 秋のお彼岸(2026年は9/19〜23が連休)は、家族が集まりお墓の話をする好機
  • 「お参りする側」の気持ちも聞き、決めたことはエンディングノートに残す