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家族が年金を受け取らないまま亡くなったら?「死亡一時金」と「未支給年金」
「40年間まじめに保険料を払い続けてきたのに、年金を一度も受け取らないまま家族が亡くなった——このお金は、誰も受け取れないのでしょうか?」2026年7月、Yahoo!ニュース(ファイナンシャルフィールド配信)でこうした相談事例が紹介されていました。結論から言うと、条件を満たせば家族が請求できるお金があります。ただし「請求しなければもらえない」制度のため、知らずに時効を迎えてしまうケースも少なくありません。この記事では、そのニュースをきっかけに、国民年金の「死亡一時金」と「未支給年金」の違いを、終活カウンセラー1級が一次情報(日本年金機構)をもとに整理します。
きっかけになったニュース
この記事のきっかけは、2026年7月16日にYahoo!ニュースで配信された、ファイナンシャルフィールドの記事です。
独身の兄が64歳で亡くなり、年金を一度も受け取れませんでした…。40年間欠かさず保険料を払ってきたのに、家族が受け取れるお金はないのでしょうか?(ファイナンシャルフィールド・Yahoo!ニュース)
記事で紹介されていたのは、独身で子どものいない兄が、国民年金の保険料を40年間欠かさず納めながら、老齢基礎年金を一度も受け取ることなく64歳で亡くなったという相談事例です。同居していたきょうだいが生計を同じくしていた場合、「死亡一時金」を受け取れる可能性がある、という内容でした。
「死亡一時金」とは
死亡一時金は、日本年金機構によると、次の要件を満たすときに支給される国民年金独自の給付です。
- 支給の条件——死亡日の前日までに、国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランスなどとして国民年金保険料を自分で納めていた方)として保険料を納めた月数が36か月(3年)以上あり、老齢基礎年金・障害基礎年金のどちらも受けないまま亡くなった場合
- 受け取れる遺族——亡くなった方と生計を同じくしていた遺族のうち、優先順位の高い方1人(①配偶者②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹の順)
- 金額——納めた月数に応じて12万円〜32万円。付加保険料を36か月以上納めていた場合は8,500円が加算される
- 期限(時効)——死亡日の翌日から2年を過ぎると請求できなくなる
- 他制度との関係——遺族基礎年金を受けられるときは支給されない。「寡婦年金」を受けられる場合は、どちらか一方を選ぶ
今回のニュースのケースのように、老齢基礎年金を一度も受け取っていないまま亡くなった第1号被保険者の家族にとっては、見落とされやすい給付です。「年金は受け取っていなかったから、家族には何も残らない」と思い込まず、要件に当てはまるかどうかを確認する価値があります。
「未支給年金」との違い
混同されやすいのが「未支給年金」です。こちらは、すでに老齢年金などを受給していた方が亡くなった場合に、まだ受け取っていない分(亡くなった月の分まで)を家族が代わりに受け取れる制度です。死亡一時金とは支給の前提が異なります。
- 対象——年金をすでに受給していた方が、受け取るはずだった分を受け取らずに亡くなった場合
- 受け取れる遺族の範囲——生計を同じくしていた遺族のうち優先順位の高い方1人(①配偶者②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹⑦それ以外の3親等内の親族、の順)
- 期限(時効)——年金の支払日の翌月の初日から5年
- 手続き——「年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要
整理すると、「年金をすでにもらっていた人」が亡くなった→未支給年金、「年金をもらう前に」第1号被保険者が亡くなった→死亡一時金(要件を満たす場合)という違いです。どちらに当てはまるかわからない場合も、まずは年金事務所に確認するのが確実です。
請求を忘れないためにできること
- 亡くなったらできるだけ早く年金事務所へ連絡する——年金を受給していた場合は「年金受給権者死亡届」の提出が必要です(日本年金機構とマイナンバーが連携している場合は原則不要ですが、確認しておくと安心です)
- 亡くなった方の年金の種類を確認する——国民年金だけか、厚生年金にも加入していたか。基礎年金番号がわかる書類(年金手帳・基礎年金番号通知書・ねんきん定期便など)を探しておく
- 生計を同じくしていたかどうかを確認する——同居していた、生活費を送金していた、扶養に入っていた、といった事実が「生計同一」の判断材料になります
- 期限を意識する——死亡一時金は2年、未支給年金は5年で時効になります。「落ち着いてから」と後回しにしすぎないよう注意してください
相続手続き全体の流れは家族が亡くなったあとの相続手続きの記事で時期別に整理しています。年金関係の届出は「直後にやること」に含まれる項目です。
エンディングノートに書いておきたい年金情報
今回のような「請求できるはずのお金に家族が気づけない」事態を防ぐには、本人が元気なうちに、年金に関する情報をエンディングノートに残しておくことが有効です。
- 基礎年金番号(年金手帳・基礎年金番号通知書に記載)
- 加入していた年金の種類(国民年金第1号・第3号、厚生年金など)と、おおよその加入期間
- 年金をすでに受け取っているか、まだ受け取っていないか
- 年金関係の書類(年金手帳、ねんきん定期便、年金証書など)の保管場所
- 担当の年金事務所・年金相談窓口
書き方の詳細はエンディングノートの書き方完全ガイドを、全体のチェックリストは終活チェックリスト完全版をご覧ください。
年金情報も含めて書き残すなら
基礎年金番号や加入記録など、家族が困りやすい情報をまとめて書き残すなら、まず1冊試してみるならこちらが定番です。詳しいレビューはおすすめエンディングノート10選でも紹介しています。価格帯:1,000円台。
もっと気軽に「お試し」で渡すなら
「本格的なノートはハードルが高そう」という場合は、ワンコイン程度で買える薄型タイプから始めるのも一つの方法です。価格帯:500円前後。
まとめ
- 年金は「請求しないと受け取れない」お金。家族が亡くなったときは、まず年金事務所へ確認を
- 老齢基礎年金を一度も受け取らずに亡くなった国民年金第1号被保険者(36か月以上納付)の家族は「死亡一時金」(12万〜32万円、時効2年)の対象になりうる
- すでに年金を受給していた方が亡くなった場合は「未支給年金」(時効5年)が対象。死亡一時金とは別制度
- 基礎年金番号や加入記録は、エンディングノートに書き残しておくと家族が困らない