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親が元気なうちに聞いておくこと30項目|会話例・印刷用シート付き
結論:全部を一度に聞く必要はありません。1回の帰省で2〜3項目ずつで十分です。運営者は親を突然亡くしたとき、「聞いておけばすぐ済んだのに」という情報がどれほど多いかを痛感しました(体験談はこちら)。この記事では、聞いておきたいことを医療・お金・デジタル・葬儀・暮らしの30項目に整理し、それぞれ「なぜ聞くのか」「どう聞くか」を添えました。印刷用の確認シートPDFもあります。
進め方の大原則:いきなり質問リストを出さない
30項目のリストをそのまま親の前に出すと、「訊問されている」「財産を狙われている」と感じさせてしまい、逆効果です。うまくいくご家庭に共通するのは、次の3つです。
- 1回2〜3項目まで——帰省や電話のついでに、少しずつ
- 健康の話から入る——「かかりつけ医どこだっけ?」は自然に聞けて、実は最重要情報です
- 金額は聞かない——聞くのは「どこの銀行か」「保険に入っているか」まで。残高を聞かないと決めて伝えると、親の警戒が解けます
そもそも切り出すこと自体が難しい場合は、先に親への切り出し方のコツ(会話例つき)をお読みください。
話を切り出す会話例
A. 健康・医療(7項目)
もしもの入院に、その日から必要になる情報
救急搬送や入院のとき、家族が最初に病院から聞かれるのがこの情報です。
1かかりつけの病院・医師
聞き方:「最近病院行ってる?どこの先生?」——世間話の延長で聞けます。
2持病・アレルギー
薬の処方や手術の同意で必ず必要になります。
3毎日飲んでいる薬・お薬手帳の場所
「お薬手帳ってどこに置いてる?」だけでOK。入院時に持参を求められます。
4健康保険証・診察券の保管場所
場所だけ。中身や番号を控える必要はありません。
5入院時に連絡してほしい人
親の交友関係は子どもが一番知りません。「もし入院したら誰に知らせる?」
6延命治療についての今の気持ち
重い話題なので最後のほうで。「今の気持ちでいいから」「変わったら変えていいから」を必ず添えてください。実際の医療現場では状況により希望どおりにならないこともあります——だからこそ「考えを知っている」ことが家族の支えになります。
7介護が必要になったときの希望
「家がいい?施設でもいい?」の大枠だけで十分。細部は必要になってから。
B. お金・契約(7項目)
「探す時間」を減らすための情報——金額は聞かない
運営者の実体験では、預金と借金の有無が分かっていただけで家族の不安が大きく減りました。必要なのは金額ではなく「ありか」です。
8利用している銀行(銀行名・支店名)
「口座いくつある?どこの銀行?」——残高は聞かない、と先に宣言すると話しやすいです。
9年金の受取口座
死亡後の年金手続きで最初に確認する情報です。
10加入している保険(会社名・証券の場所)
請求しなければ受け取れないのが保険です。存在を知らないと請求できません。
11借金・ローン・保証人の有無
最も聞きにくく、最も重要。相続放棄には期限があるためです(相続手続きの記事)。「責める話じゃなくて、手続きの準備として聞いておきたいの」と伝えて。
12通帳・印鑑・権利証など重要書類の保管場所
「場所だけ教えて。中は見ないから」が魔法の言葉です。
13公共料金などの引き落とし口座
口座凍結後の切り替え手続きに必要になります。
14貸金庫・トランクルームの有無
存在自体を家族が知らないケースが多い契約です。
C. デジタル(5項目)
スマホ時代に、家族が一番困る分野
通帳のように「モノ」がないため、存在に気づけないのがデジタルの怖さです。詳しくはデジタル遺品の整理の記事へ。
15携帯電話の契約会社
解約・引き継ぎの窓口が分かります。
16スマホのロック解除方法を「どこに」残すか
番号そのものは聞かない・書かせない。「暗証番号を書いた封筒をどこにしまうか、お母さんが決めて。場所だけ教えて」という設計にしてください。
17ネット銀行・ネット証券の利用の有無
「あるか・ないか」だけで大収穫です。相続財産なのに誰にも知られない事態を防げます。
18毎月の定額サービス
新聞・動画・アプリ課金。解約しない限り請求が続きます。
19写真データの保存場所
お金ではなく思い出の話。実はここから会話が弾むご家庭が多いです。
D. 葬儀・お墓(6項目)
数日で決めることになる、いちばん本人に聞きたかったこと
運営者の実体験で、最も「分からない」が重かった分野です。亡くなってから通夜までは数日しかありません(葬儀の生前準備の記事)。
20葬儀の規模・形式の希望
「家族だけがいい?それとも友達も呼びたい?」——テレビの葬儀特集をきっかけにすると自然です。
21宗教・宗派・菩提寺の有無
子ども世代が意外と知らない筆頭。お盆やお彼岸の帰省時が聞きどきです。
22連絡してほしい人(住所録の場所)
全員の名前を聞き出す必要はなく、「年賀状の束はどこ?」で足ります。
23遺影に使ってほしい写真
「この写真いいね」から入ると、暗くならずに話せます。
24お墓・納骨の希望
今のお墓を継ぐのか、別の形か(お墓の選択肢の記事)。
25互助会・葬儀保険への加入の有無
加入を知らずに別の葬儀社へ依頼してしまうケースがあります。
E. 暮らし・大切なもの(5項目)
日常が止まらないための情報
人が亡くなった直後も、ペットの餌やりやゴミ出しなどの日常は続きます。運営者が実体験で最初に頭に浮かんだのも、猫の餌と水のことでした。
26家・車・倉庫などの鍵の場所
実家に入れない、が最初の壁になることがあります。
27ペットの世話
餌の種類・動物病院・いざという時に託したい相手。
28絶対に残してほしい物・処分してよい物
遺品整理で家族が最も苦しむ判断を、先に本人に委ねられます。
29エンディングノート・遺言書の有無と保管場所
「書いてあるかどうか」を知っているだけで、死後の動きが変わります。
30困ったときに相談している人
かかりつけの税理士・保険の担当者・信頼する友人。家族が引き継ぐべき「人間関係の連絡先」です。
親が答えたくないときの対応
- 深追いしない——1回断られたら、その項目は数か月置く。関係が壊れたら全部聞けなくなります
- 理由を推測で責めない——「なんで教えてくれないの」はNG。「話したくなったらでいいよ」と引く
- 別の入口から——お金がだめなら健康から、健康もだめなら写真や思い出から
- 書いてもらう選択肢——口で話すのが嫌な親には、エンディングノートを渡して「書けるところだけ」も有効です(渡し方のコツ)
聞いた内容の記録と保管
- 記録先——印刷用シートまたはエンディングノート。スマホのメモは家族が見つけられないことがあるため、紙を推奨します
- 保管——財産の場所が書かれるため、実家か自宅の安全な場所に。コピーの配布は最小限に
- 兄弟姉妹との共有——「誰が原本を持つか」「更新したら誰に知らせるか」を先に決めておくと揉めません
- 書かないもの——暗証番号・パスワード・マイナンバー。「ありか」だけを記録します(理由はこちら)
専門家へ相談する境界線
30項目は「情報の共有」までです。次の話が出てきたら、家族内で完結させず専門家につないでください。
- 財産の分け方の希望が出てきた → 遺言書の検討へ(種類と費用/無料相談の探し方)
- 借金・保証があると分かった → 司法書士・弁護士へ早めに相談
- 不動産・事業・再婚などの事情がある → 相続設計は専門家の領域です
- 認知症の兆しが心配 → かかりつけ医や地域包括支援センターへ。財産管理の制度(任意後見など)は判断能力があるうちにしか契約できません
印刷用の確認シートPDF
30項目をメモ欄つきのA4シートにしました。帰省のかばんに1枚入れておいて、話せた項目から埋めてください。
30項目の確認シートPDFをダウンロードA4・記入欄つき/無料・登録不要
よくあるご質問
Q1. 30項目を全部聞かないとだめですか?
いいえ。一度に聞くのは2〜3項目で十分です。全部そろえることより、会話が続く関係を保つことのほうが大切です。まずはA群(健康・医療)の、かかりつけ医と薬の2つから始めてください。
Q2. 親に「財産目当てか」と警戒されないか心配です。
お金の話から入らないことが大原則です。健康や思い出の話から始め、「金額は聞かない。どこの銀行かだけ教えて」と範囲をはっきり伝えると、警戒されにくくなります。切り出し方の記事で会話例を詳しく紹介しています。
Q3. 聞いた内容はどこに記録すればいいですか?
この記事の印刷用シートか、エンディングノートに記録してください。財産の場所が書かれるため、実家または自宅の安全な場所に保管し、コピーの配布は最小限に。兄弟姉妹とは「誰が原本を持つか」を決めておくと揉めません。
Q4. 親のスマホの暗証番号は聞いておくべきですか?
番号そのものを聞き出して紙に書くことはおすすめしません。「暗証番号を書いた封筒をどこに保管するか」を親自身に決めてもらい、その場所だけを共有する方法が安全です。
Q5. 延命治療の希望は子どもから聞いてもいいのでしょうか?
デリケートですが、意識がなくなってからでは本人に聞けません。「今の気持ちでいいから教えて」「気が変わったらいつでも変えていい」と添えると話しやすくなります。なお、実際の医療の場面では状況により希望どおりにならないこともあります。本人・家族・医療者で繰り返し話し合うことが大切です。